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整形外科領域の超音波診断

No.4726 (2014年11月22日発行) P.55

船越忠直 (北海道大学整形外科講師)

登録日: 2014-11-22

最終更新日: 2016-10-26

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超音波(US)検査が整形外科の診断ツールとして認識されつつある。整形外科の日常診療で遭遇する疾患は,骨組織に問題がなく軟部組織の問題(腱,靱帯,軟骨損傷)である場合が少なくない。単純X線では評価が困難な軟部組織に対してはUS検査が有効であり,体表面に近い軟部組織損傷である肩腱板断裂や足関節靱帯損傷はUS検査が特に有効な疾患の1つである。
腱板断裂のチェックポイントはperibursal fatの形状,腱板内エコー,大結節表面の骨不整像の3点で,これらがすべてそろうと89%の正確度で診断が可能であると報告されている(文献1)。足関節不安定性評価はUS下にストレスを加えることで靱帯損傷重症度の判断に有効な情報が得られ,外来で高価かつ時間のかかるMRI検査を行うべきかどうかの客観的な情報が得られる点で,非常に意義が大きいと考えられる。
成長期投球障害に多い上腕骨小頭離断性骨軟骨炎は,以前よりUS検査の有効性が報告されてきた疾患である。早期の小頭離断性骨軟骨炎は保存加療による自己修復が期待できるため,無症候性病変やごく早期の病変を確実に発見することが最も重要であると考えられる。ポータブル型US機器の発達によりUS検査は病院外での検診活動で大きな役割を果たしている。今後は3次元USなどの技術開発により,さらに臨床医に身近なツールとなることが期待される。また造影US(文献2),エラストグラフィなどの新しい手技の応用が期待される。

【文献】


1) Prickett WD, et al:J Bone Joint Surg Am. 2003;85-A(6):1084-9.
2) Funakoshi T, et al:Am J Sports Med. 2011;39 (12):2640-6.

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