著: | 田中利和(柏Handクリニック院長) |
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判型: | A5判 |
頁数: | 140頁 |
装丁: | カラー |
発行日: | 2024年02月29日 |
ISBN: | 978-4-7849-7387-3 |
版数: | 第1版 |
付録: | 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます) |
「手外科」というと,皆さんは何を思うでしょうか。『少年サンデー』に2023年5月から連載されている『テノゲカ』のようなマイクロサージェリーを駆使した治療がメインと思われ,とっつきにくい,難しい,トレーニングをしないといけない……などのネガティブな面が頭に浮かぶかもしれません。
たしかに整形外科という枠で考えると,劇的に手の症状を改善させる治療は手術でしょう。しかし,日常診療での「手外科」は,本書に掲載した保存的治療により改善する疾患が多いのです。当クリニックでいうと,10,000人の新患に対して, 手術を必要としている方は1,700人程度で,全体の17%。それ以外の83%は手術が必要のない保存的加療の患者です。
それにも関わらず他院を受診したときに「歳だからしょうがないよ」「使い過ぎだから」と言われてしまい,残念な気持ちを持ったまま当クリニックを受診している方が多くいらっしゃいます。
私が4年前に外来診療を中心にオープンした『柏Handクリニック』には, 作業療法士によるリハビリテーション室を併設しています。内服や注射療法に加えて装具・スプリント療法,炭酸ガス治療を行い,多くの方の症状が改善されています。適切な治療を行うためには,確実な診断が大切です。
本書の目的は,『疾患にちょっとだけ興味を持っていただき, 日常の診療の中で患者への,「歳だから」「使い過ぎだから」を少しでも減らしてもらいたい』ということです。部位別に頻度の高い疾患を並べていますので,指や手関節の疼痛部位,外傷の有無でページを開いて頂くと,鑑別すべき疾患が列記されています。単純X線と超音波エコーというありふれた画像だけで診断ができるように図を多く掲載しました。ただ, キーンベック病の初期のようにMRIが必要な際には,鑑別として掲載しています。診察室に1冊置いていただき,読者の皆さんの診察の手助けになれば幸いです。
最後に,この本を出すにあたり,たくさんのアドバイスや励ましを頂き, わがままな本の作成をお手伝いしてくれた日本医事新報社編集局書籍課 村上由佳様, 突然最終編集のゲラ読みをお願いして,早々に返信を頂けた筑波技術大学保健科学部 菅谷 久准教授,筑波大学医学医療系整形外科 井汲 彰講師には,深謝いたします。ただただ何も言わずに寄り添ってくれている妻・成美に, 感謝し,この本を捧げたいと思います。
2024年2月
田中利和