距骨骨軟骨損傷は,軟骨下骨が損傷し,骨軟骨片が剝離する,また,軟骨下骨に囊腫を形成することで足関節痛が生じる疾患である。日常診療で遭遇することも多く,足関節捻挫などの足関節外傷による強い外力で生じるだけでなく,足関節捻挫後に持続する不安定性による反復性の微小外力によって関節軟骨や軟骨下骨が損傷して発生することが多い。したがって,活動性が高く捻挫の機会が多いスポーツ選手に多くみられる。しかし,明らかな外傷歴のない症例や両側例も存在する。スポーツ選手のパフォーマンス低下や荷重時痛などの日常生活に支障が出るだけでなく,関節症変化をきたすこともあるため,的確な診断と治療が必要である。
距骨骨軟骨損傷に特徴的な症状はなく,足関節の漠然とした痛みを訴えることが多い。荷重時の痛みを訴えることもある。足関節外側靱帯損傷を合併していることも多く,足関節の不安定性を評価する。距骨骨軟骨損傷の診断は画像が中心となり,単純X線,CT,MRIを用いて評価する。単純X線では,距骨骨軟骨損傷の約50%しか診断できないと言われており,CT,MRIでの検査が必要となる。MRIにて,病期を確認し,骨軟骨片の不安定性を評価する。骨軟骨片が不安定であれば,分界層への関節液流入により,分界層にT2強調画像で高信号を認める。MRIにて骨髄浮腫を認めることがあるが,これは脆弱な骨組織や微小囊腫を反映している。足関節外側靱帯損傷を合併していることも多いので,併せて評価する。CTでは,主に病変部の大きさ,深さの評価を行う。特に,骨軟骨片の骨吸収の程度や母床の骨硬化,軟骨下骨囊腫を評価する。
残り1,483文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する