半月板は,大腿骨と脛骨間に介在する三日月様の線維軟骨組織であり,膝関節の安定化と荷重の伝達・分散を担い,関節軟骨を保護している。しかし,血行が辺縁に限局しているために,その治癒能力は低い1)。内側半月板は全周性に関節包に付着しているが,外側半月板の後方は膝窩筋腱が通る溝があるために可動性が大きい。形態異常,異常可動性,靱帯不全などの素因を有する場合は,軽微な外力でも発生しうる。損傷形態は,水平・縦・横・弁状・バケツ柄断裂等がある。外側半月板に発生しやすい円板状半月板は,小児~成長期に膝が伸びなくなるなどの嵌頓症状(ロッキング)で発見されることがある。半月板損傷が重度の場合,その機能が失われ関節軟骨の損傷・変性を惹起し,変形性膝関節症(osteoarthritis:OA)となる。
膝を捻るなどの外傷や繰り返しの負荷による障害で損傷や変性が起こる。症状は,膝痛,引っかかり等で,正座やしゃがみ込みができなくなり,可動域が制限される。バケツ柄断裂など,断裂半月板の異常可動部が関節内に嵌頓した場合には強い疼痛を認める。新鮮例では,関節血症や炎症症状を伴うことがあるが,陳旧例においては関節水症を認める。壮年期に発生しやすい内側半月板後根断裂では,坂道や階段を下る際の急な膝窩部痛が特徴的である。徒手検査では,関節裂隙に圧痛を認め,McMurrayテストでクリックや疼痛の有無をみる。陳旧例や変性が進行すると,X線では関節裂隙の狭小化や骨棘,大腿骨顆部の扁平化などを認める2)。MRIが確定診断に有効である。
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