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腰部脊柱管狭窄症

No.4708 (2014年07月19日発行) P.60

林田光正 (九州大学整形外科教授)

岩本幸英 (九州大学整形外科教授)

登録日: 2014-07-19

最終更新日: 2016-10-26

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腰部脊柱管狭窄症は,脊柱管内の神経組織(馬尾や神経根)が単独あるいは重複して圧迫されることにより,腰痛,下肢や会陰部のしびれなどを生じる疾患である。超高齢社会を迎えた現在,整形外科医以外でも本症の診療機会は多いと思われる。
腰部脊柱管狭窄症の特徴は,症状の出現に腰椎の姿勢性要素が大きく関わっている点である。立位や歩行で症状が増悪し,腰椎の屈曲位や坐位の保持により症状が軽減することは重要な所見である。診断にはわが国で開発された「腰部脊柱管狭窄診断サポートツール」が,臨床の現場で患者をスクリーニングするためのツールとして簡便かつ有用である。
保存治療には安静,薬物療法,ブロック療法,運動療法,装具療法などがある。症状の一部である腰臀部痛,下肢痛については理学療法と運動療法の組み合わせが有効である。
薬物療法に関しては,非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs),筋弛緩薬,ビタミンB12などが用いられるが,その効果は限定的である。経口プロスタグランジンE1は跛行や両下肢のしびれに対する効果が証明された薬剤である。一定期間,適切な保存治療を行っても改善がない場合は,手術治療が選択される。
手術治療は,5年の経過で約70%の症例において良好な成績である。手術の基本は神経組織の除圧と脊椎の固定であり,脊椎椎弓切除術,固定術が主として用いられる。近年,内視鏡下椎弓切除術など,より低侵襲をめざす手術法が普及している。小さな皮切で手術が可能なため痛みが少なく,入院期間が短いなどの効果が期待されている。

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