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肩腱板断裂治療の最近の状況

No.4702 (2014年06月07日発行) P.59

岡田貴充 (九州大学整形外科教授)

岩本幸英 (九州大学整形外科教授)

登録日: 2014-06-07

最終更新日: 2016-10-26

腱板断裂は肩の運動障害・運動痛・夜間痛を主訴とし,中高年成人に発症する疾患である。治療は注射療法と運動療法による保存療法がまず行われる。注射療法では,夜間痛が強く肩関節に炎症を生じている場合は副腎皮質ホルモンと局所麻酔薬の肩峰下滑液包内注射を行い,夜間痛が沈静化した後はヒアルロン酸の注射に変更する。運動療法では,残存する腱板の機能賦活を目的に腱板機能訓練が行われる。十分な保存療法にもかかわらず運動障害・疼痛が残存する場合に腱板修復術が選択される。
以前は損傷が及んでいない三角筋に切開を加える直視下手術が行われたが,術後の疼痛が強く正常組織へ損傷が及ぶという欠点があった。この欠点を克服する非侵襲的な治療が関節鏡視下腱板修復術であり,4~5箇所(各約7mm)の切開で腱板修復を行い,三角筋にはほとんど侵襲を加えない。鏡視下修復が可能となったのは内視鏡と腱板を上腕骨に固定するスーチャーアンカーの進歩によるところが大きく,このアンカーの進歩とともに腱板の修復法にも改良が加えられてきた。
当初は腱板断端を外側1列のアンカーで固定するsingle row法が行われていたが,腱板付着部の内側列にもアンカーを追加し内・外側2列で固定し,腱と骨の接触面積を増大させようとするdouble row法へと変化を遂げた。これらいずれの方法も腱を骨に「点」で固定がコンセプトであったが,最近では内側列の縫合糸を腱板に通した後に,外側列のアンカーに引き込んで「面」での固定をめざしたsuture bridge法が行われ,さらなる治療成績の向上が期待されている。

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