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骨粗鬆症治療薬:最近の進歩

No.4699 (2014年05月17日発行) P.58

大石正信 (九州大学整形外科教授)

岩本幸英 (九州大学整形外科教授)

登録日: 2014-05-17

最終更新日: 2016-10-26

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骨の構成細胞として,骨を形成する骨芽細胞,骨を吸収する破骨細胞,骨芽細胞が分泌した骨基質に埋めこまれた骨細胞がある。骨粗鬆症では特に骨吸収が亢進していることが多く,ビスホスホネートなどの骨吸収阻害薬が治療の中心となっている。ビスホスホネート製剤は週1回製剤が現在は主流となっているが,服薬を開始しても治療脱落率が高いこと,生体利用効率が低いことが問題点である(文献1)。最近では月1回製剤が発売され,脱落率が低下しているとの報告もある(文献2)。また,生体利用効率の改善を期待して注射製剤が開発された。さらに,破骨細胞の分化に必須の因子であるRANKLに対するモノクローナル抗体製剤デノスマブも登場した。本薬剤は強力な骨吸収阻害作用に加え,半年に1回の皮下注射という投与方法から,継続率向上も期待されている。
骨吸収阻害薬では,骨形成も同時に阻害する点が問題となっている。この点を克服する薬剤として,カテプシンK阻害薬が開発されており,米国で第3相試験が終了している。また,わが国においては,活性型ビタミンD3誘導体で骨吸収抑制作用を持ったエルデカルシトールも発売された。
一方で,骨形成を促進する薬剤としてPTH製剤が発売されている。毎日注射するものと週1回注射するものがあり,特に椎体骨折予防において強い効果を発揮する。また,骨細胞から分泌される骨形成抑制物質を阻害することで骨形成を促す抗スクレロスチン抗体が開発され,臨床試験が進められている。

【文献】


1) 萩野 浩:治療. 2012;94(12):2053-8.
2) Deal C:Nat Clin Pract Rheumatol. 2009;5(3): 20-7.

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