腰部脊柱管狭窄症とは,腰椎部において,主として加齢に伴う退行性変化によって,椎間板や黄色靱帯,椎間関節といった神経組織周囲の変性やそれに伴う肥厚により神経根や馬尾が慢性的な機械的圧迫を受けている状態となり,腰痛,下肢痛,間欠跛行を示す疾患である1)。
腰痛,下肢痛,間欠跛行が特徴的である。間欠跛行とは,普段は下肢にしびれがないが,歩行とともに増悪し,休息すると軽快する,を繰り返す状態を言う。単純腰椎X線や,腰椎MRIが鑑別診断に重要である。腰部脊柱管狭窄症診断サポートツールなどのツールが開発されている2)。
程度の軽い腰部脊柱管狭窄症の場合,保存治療で軽快する場合が多い。まずは最低3カ月の保存療法を試みることを推奨する。保存療法は,温熱療法や牽引などの理学療法,歩行訓練,体幹筋力訓練などの運動療法を行う。歩行などの運動療法は,手術移行例を10~15%減少させることが可能である。痛みに対しては消炎鎮痛薬,α2δリガンド,オピオイドを,歩行障害(間欠跛行)にはプロスタグランジン(prostaglandin:PG)製剤を用いる。ブロック療法として硬膜外ブロック,選択的神経根ブロックがある。保存治療に抵抗する場合は手術も考慮する。
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