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捻挫[私の治療]

No.5093 (2021年12月04日発行) P.44

橋本健史 (慶應義塾大学スポーツ医学研究センター教授)

登録日: 2021-12-04

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  • 捻挫とは,外力によって関節運動が強制され,関節を構成している靱帯などの軟部組織が損傷した状態のことで,関節面相互に位置関係の乱れのないものである。重症度別の的確な治療を行うことで,関節不安定性や変形性関節症などの後遺症を生じさせないことが重要である。

    ▶診断のポイント

    圧痛点はどこにあるのかを詳細に調べる。ストレス検査などを行って関節不安定性の程度を調べる。画像検査ではまず単純X線検査を行い,骨折の有無を確認する。超音波検査がきわめて有用である。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    捻挫の治療においては,その重症度を正しく把握することが重要である。関節包などの伸張だけで関節不安定性のないⅠ度損傷,靱帯の部分断裂であって軽度の関節不安定性があるⅡ度損傷,靱帯の完全断裂であって重度の関節不安定性のあるⅢ度損傷に分類することが多い。上肢においては,関節不安定性を左右で比較して判断する。下肢においては,受傷直後に荷重歩行ができればⅠ度損傷で,荷重歩行ができないほどの疼痛があればⅡ,Ⅲ度損傷と考えてよい。膝関節捻挫ではMRI検査が有効であり,これによって損傷靱帯とその損傷程度がわかり,治療方針をたてることができる。また,膝関節ストレス検査が有効で,前方引き出しテストで前十字靱帯損傷を,後方引き出しテストで後十字靱帯損傷を,内反ストレステストで外側側副靱帯損傷を,外反ストレステストで内側側副靱帯損傷を診断することができる。足関節ではストレスX線検査が有用で,距骨傾斜角が15°以上の場合,前距腓靱帯,踵腓靱帯の完全断裂を疑う1)。超音波検査が有用な検査であり,靱帯損傷の部位,程度を把握することができ,また,治癒過程もわかるため,運動開始時期などを客観的に決めることができる。

    Ⅰ度損傷に対してはアイシング,湿布や弾力包帯固定を行う。Ⅱ度損傷に対しては基本的には保存的治療がよい。2~4週程度のギプスなどによる関節固定が適当である。Ⅲ度損傷に対しては,よく本人と話し合い,高いレベルをめざすアスリートであれば外科的治療を必要に応じ選択する。

    処方は基本的にはNSAIDsの消炎鎮痛薬が中心である。一手目として,消化器への副作用の少ないアセトアミノフェン類を用いる。これが効果のない場合は,ロキソプロフェンナトリウムがよい。ただ,消化器への副作用を考慮し,H2受容体拮抗薬などを併用するとよい。

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