【片脚着地インパクトは関節角度,筋活動,咬合状態と関連する】
膝前十字靱帯(ACL)損傷などのスポーツ膝外傷は,バスケットボールやハンドボールなどの選手がプレー中に片脚着地した際に発生しやすい。膝関節にかかるストレスは,足底接地直後における身体各部の位置関係と,インパクトの大きさが相互に影響して増減する。
片脚外方ジャンプ着地中のインパクトには健常者でも利き脚と非利き脚によりある程度の非対称性があり,女性の非利き脚で大きくなりやすい1)。片脚ジャンプ空中時期から着地にかけて,膝屈曲角度が浅く骨盤前傾角度が大きいほど,そして,大腿四頭筋とハムストリングスの同時収縮率が高いほど着地インパクトは高まりやすい2)3)。エアロバイク高負荷運動による筋疲労が生じると,片脚前方ジャンプ後の着地インパクトの速さが増しやすい4)。片脚前方ジャンプ着地中に意図的な咬合により咬筋活動が高まると,着地インパクトが高まりやすい5)。
膝スポーツ外傷予防には,片脚着地インパクトや,これに関連する運動学的要因を理解した上で,着地動作を指導することが重要であろう。
【文献】
1) Aizawa J, et al:J Phys Ther Sci. 2018;30(3): 387-92.
2) Aizawa J, et al:J Phys Ther Sci. 2016;28(8): 2316-21.
3) Ohji S, et al:Asian J Sports Med. 2019;10(3): e81771.
4) Watanabe S, et al:J Phys Ther Sci. 2016;28 (12):3371-5.
5) Nakamura T, et al:J Appl Biomech. 2017;33 (3):211-5.
【解説】
相澤純也 順天堂大学保健医療学部理学療法学科 先任准教授