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脊髄空洞症[私の治療]

No.5019 (2020年07月04日発行) P.41

辻 収彦 (慶應義塾大学医学部整形外科)

松本守雄 (慶應義塾大学医学部整形外科教授)

中村雅也 (慶應義塾大学医学部整形外科教授)

登録日: 2020-07-04

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  • 脊髄空洞症は,何らかの原因で髄内に脳脊髄液が貯留して脊髄に空洞を形成し,多彩な脊髄の機能障害をきたす慢性進行性の疾患である。その発生機序については,脳脊髄液の循環動態不全などが提唱されているが,いまだ論争が多く詳細不明である。

    合併する基礎疾患に基づいて分類すると,わが国で行われた全国調査の結果ではキアリ奇形1型に伴うものが最多(52%)であり,ついで特発性(17%),キアリ奇形2型(二分脊椎:脊髄係留症候群,脊髄髄膜瘤含む)(9%),外傷後癒着性くも膜炎(8%),脊髄腫瘍(上衣腫,血管芽細胞腫など)(5%),その他(Dandy-Walker症候群,Klippel-Feil症候群,水頭症,感染性疾患,脱髄・脊髄炎,頸椎症性脊髄症など)(9%)との結果であり1),有病率は1.94人/10万人であった2)

    ▶診断のポイント

    【症状】

    上肢のしびれ・疼痛,時に頸背部にかけての「重苦しい」「だるい」といった不快感が初発症状であることが多い。また,いきみ動作に伴う頸部痛を訴えることもある。空洞によって脊髄内を交叉する温痛覚は障害されるが,交叉しない触覚・位置覚は保たれる「解離性感覚障害」を認めた場合は,本疾患を想起すべきである。また,ジャケット型のいわゆる「宙吊り型感覚障害」を呈することもある。特徴的な手内筋萎縮は進行例で生じる。

    【画像検査】

    まず単純X線検査(頸椎前後屈4方向,脊椎全長2R)を行う。小児例では脊柱側弯症を契機に本症が発見されることがある。確定診断にはMRIが必須である。髄内にT1低信号・T2高信号領域を呈する空洞があった場合には,原因特定のために造影MRI検査も行うべきである。原因として最多のキアリ奇形は頸椎MRIで診断可能である。血管芽細胞腫に起因する空洞,延髄から全脊髄に及ぶ空洞を伴うが,腫瘍本体は1椎体長にも満たない場合があるため,空洞が広範囲に及ぶ場合には1箇所の造影検査のみならず全脊髄造影MRIを施行する必要がある。さらには,頭部MRIで水頭症,腰仙椎MRIで脊髄係留症候群の有無につき確認すべきである。これらの精査にて原因疾患を認めない場合に特発性と診断する。

    なお,時に無症状であるが,交通事故後に偶発的にMRIで発見される胎生期中心管遺残があり,これは治療の必要がなく脊髄空洞症とは見なさない。

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