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整形外科専門医を目指すケース・メソッド・アプローチ 5 骨軟部腫瘍

認定医・専門医試験受験者のためのケース・スタディ問題集

定価:6,380円
(本体5,800円+税)

在庫切れです

編著: 川口智義(癌研究会付属病院院長補佐・整形外科部長)
判型: B5判
頁数: 284頁
装丁: カラー
発行日: 2004年05月20日
ISBN: 4-7849-6135-6
版数: 第2版
付録: -

臨床の現場で要求される知識を身に付けるための、ケース・スタディ問題集です。
骨軟部腫瘍のエキスパートにふさわしい症例30例を、主治医として誌上体験できます。
症例の経過を追いつつ、設問に答えながら診断・治療を進め、具体的な知識をマスターする構成です。
492点にわたる画像データで診断・治療がわかりやすく学習できます。実力アップを目指す研修医、若手医師に、専門医が診断・治療・手術のコツを伝授します。

目次

CASE 1 骨肉腫,osteosarcoma  
CASE 2 骨膜骨肉腫,periosteal osteosarcoma  
CASE 3 傍骨骨肉腫,parosteal osteosarcoma  
CASE 4 ユーイング腫瘍,Ewingユs sarcoma  
CASE 5 骨悪性線維性組織球腫,malignant fibrous histiocytoma  
CASE 6 骨巨細胞腫,giant cell tumor of bone 
CASE 7 軟骨肉腫(通常型),chondrosarcoma  
CASE 8 線維性骨異形成,fibrous dysplasia  
CASE 9 アダマンティノーマ,adamantinoma  
CASE 10 骨嚢腫,bone cyst  
CASE 11 類骨骨腫,osteoid osteoma  
CASE 12 軟骨芽細胞腫,chondroblastoma  
CASE 13 脊索腫,chordoma 
CASE 14 肺癌の骨転移,metastatic bone tumor of lung cancer  
CASE 15 内軟骨腫,enchondroma  
CASE 16 骨軟骨腫,osteochondroma 
CASE 17 好酸球性肉芽腫,eosinophillic granuloma  
CASE 18 軟部悪性線維性組織球腫,malignant fibrous histiocytoma  
CASE 19 脂肪肉腫(粘液/円形細胞混合型),liposarcoma(myxoid round cell tranditional type)  
CASE 20 胞巣状軟部肉腫,alveolar soft part sarcoma  
CASE 21 滑膜肉腫,synovial sarcoma  
CASE 22 横紋筋肉腫,rhabdomyosarcoma 
CASE 23 神経鞘腫,schwannoma(neurilemmomaと同義) 
CASE 24 粘液型軟骨肉腫(類脊索肉腫),myxoid chondrosarcoma(chordoid sarcoma)  
CASE 25 軟部間葉型軟骨肉腫,mesenchymal chondrosarcoma  
CASE 26 骨外性骨肉腫,extraskeletal osteosarcoma 
CASE 27 滑膜性骨軟骨腫,synovial osteochondromatosis  
CASE 28 骨化性筋炎,ossifying myositis(同義語,myositis ossificance, pseudomalignant osseus tumor)  
CASE 29 骨外性ユーイング肉腫/末梢神経外胚葉性腫瘍(extraskeletal Ewingユs sarcoma/primitive neuroectodermal tumor, PNET)  
CASE 30 脂肪腫,lipoma  
CASE 31 血管腫(筋肉内),hemangioma  
CASE 32 悪性末梢神経鞘腫瘍,malignant peripheral nerve sheath tumor, MPNST(神経性肉腫,悪性シュワン腫,神経線維肉腫と同義) 
CASE 33 色素性絨毛結節性滑膜炎,pigmented villonodular synovitis 
CASE 34 デスモイド(類腱腫,浸潤性線維腫症),desmoid  
CASE 35 隆起性皮膚線維肉腫,dermatofibrosarcoma protuberans  
CASE 36 脂肪芽細胞腫,benign lipoblastoma & lipoblastomatosis 
CASE 37 褐色細胞腫,hibernoma  

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序文


骨軟部腫瘍は、整形外科領域で最も患者の生命にリスクを有する疾患である。しかし、診断や治療はきわめて特殊なものであり、症例の大半は専門施設で行われているので、その詳細を一般の整形外科医が熟知する必要はあるまい。
しかし、最初の診療は一般整形外科の外来を受診することに始まり、その際の対応いかんによっては重大な事態となりうる。現在その対応が必ずしも満足のいくものでないとの反省から、骨軟部腫瘍学術集会では、認定医の資格条件として骨軟部学術集会での3単位の教育研修の受講義務がかせられた。そこで本書は、著者らが日常診療にあたり必要としている事項を、骨腫瘍取り扱い規約(日本整形外科学会、骨軟部腫瘍委員会編、第3版、2000)、軟部腫瘍取り扱い規約(日本整形外科学会骨軟部腫瘍委員会編 第3版、2002)、Atlas of tumor pathology, Tumors of the Bones and Joint(AFIP, third ed)とTumors of Soft Tissues(AFIP third ed)、Orthopaedic Knowledge Update Musculoskeletal Tumors(pub. by American Academy of Orthopaedic Surgeons, 2002)、Pathology and Genetics of Tumor of Soft Tissue and Bone(edited by Christopher DM?Flether, K Krishnan Unni and Fedrik Mertens, published by IARC Press, International Agency for Reserach on Cancer, Lyon, France, 2002)を基に我々の経験や考え方も加え、実践的に整理し、まとめてみた。
本書の目的は認定医の腫瘍に対する知識の整理を目指しているので、各腫瘍についての記述は設問形式に提示している。しかし、その設問形式は認定医資格試験の問題にこだわってはいない。むしろ、腫瘍の診断においての考え方が理解できるように設問と解説を加え、骨軟部腫瘍診療において知っておくべき事項を網羅して編集したつもりである。したがって、個々の設問は現行の認定医試験における問題よりもややむずかしいものと感じられるかも知れない。
そのため、それぞれの問題を解こうとするのではなく、最初から解答をみながら軽い気持ちで一読してもらえれば、診断へのアプローチ法が自然に理解でき、あえて知識を記憶にとどめようと努力せずとも実際の認定医試験問題は平易に感じるようになるはずである。実際、重要なポイントは記憶に残るようにあえて重複し記述している。そのため解説がややくどく感じられるかもしれないが、本書の趣旨をご理解の上お許し願いたい。
また本編の軟部腫瘍の診療手順においては、細胞診が重要な位置を占めている。これは比類ない細胞診断精度を誇る癌研細胞診断部への信頼性に基づいている。診断精度に信頼がおけるか否かは各施設により事情が異なる。細胞診への信頼がない施設では病理診断へ依存せざるをえず、自ずと手順が異なったものとなることを理解した上で読んで頂きたい。
なお本書は、当科臨床スタッフが日常診療の合間に粗原稿を作成し、その後私自身が加筆、さらに細胞診、病理担当者の校正を経て完成したものである。時間の制約の中で作成したものであるため解説の平易さや疾患構成において尚十分とはいえまい。しかし、私自身は現場を忠実に反映したおもしろい内容になっていると感じている。本書を通して1人でも多くの整形外科医が腫瘍を身近なものと感じ、認定医試験にとどまらず、日常診療でのプライマリー・ケアに役立てていただければと期待している。

2004年4月
川口智義

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レビュー

自著紹介

川口智義(癌研究会附属病院院長補佐・部長)
本書の目的は認定医の腫瘍に対する知識の整理を目指しているので、各腫瘍についての記述は設問形式に提示している。しかし、その設問形式は認定医資格試験の問題にこだわってはいない。むしろ、腫瘍の診断においての考え方が理解できるように設問と解説を加え、骨軟部腫瘍診療において知っておくべき事項を網羅して編集したつもりである。

本書は、当科臨床スタッフが日常診療の合間に粗原稿を作成し、その後私自身が加筆、さらに細胞診、病理担当者の校正を経て完成したもので、時間の制約の中で作成したものではあるが、モノクロ356枚、カラー136枚の写真を使用し、現場を忠実に反映したおもしろい内容になったと感じている。

本書を通して一人でも多くの整形外科医が腫瘍を身近なものと感じ、認定医試験にとどまらず、日常診療でのプライマリ・ケアに役立てていただければと期待している。

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【書評】

佐藤啓二(愛知医大教授)
「整形外科専門医を目指す」とあり、若手医師の教育を根本に考えた構成となっている。本書の優れた点を具体的に以下六項目記載する。

1.設問を投げかけて、考えさせ、詳細な回答を与えることにより、知識のみならず考え方の基本を教える。

2.代表的な画像を準備し、理解を助ける。

3.切除標本のマクロ写真を加えて、画像との対比を可能とする。

4.臨床像・画像所見・病理所見・治療法をまとめてチェックポイントとして記載し、骨軟部腫瘍の知識を整理しやすくする。

5.切除縁の概念を記載する(参考)。

6.stage分類と免疫染色抗体リストを掲載し、最新の診断に不可欠な情報を与える(資料)。

しかしながら、本書の特筆すべき点は、上記6項目の奥に隠れている。骨軟部腫瘍を専門として診療を行っている中堅医師たちは、本書を読み進めてゆく間に興奮を抑えられなくなるに違いない。

練達のOrthopaedic oncologistが豊富な知識と経験から紡ぎ出したきわめて重要な情報が、設問解説の随所にちりばめられている。高名な師匠に師事して修練しなければ得ることは不可能であったに違いない貴重な情報が?れている本書が、このような安価で販売されてよいのだろうか。時代の変化を感じさせ、また、執筆者たちの教育にかける情熱の現れでもあると解釈したいが、少しばかり惜しい気もする。

きわめて豊富な症例の蓄積と、切除標本の切り出し・切除縁評価という地道な努力を経て、本書が出来上がったものである。本書の価値がより広く認識されることを切に願うものである。

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正誤情報

下記の箇所に誤りがございました。謹んでお詫びし訂正いたします。

このたびは『整形外科専門医を目指すケース・メソッド・アプローチ 5 骨軟部腫瘍』をご愛読いただきまして誠にありがとうございます。本書(第1版第1刷2004年5月発行)に以下の誤りがございましたので、ここに訂正させていただきますとともに深くお詫び申し上げます。

該当個所
序文 6行目 骨軟部腫瘍学術集会 日本整形外科学会
執筆者一覧
町並 陸夫
骨軟部腫瘍学術集会 日本整形外科学会
執筆者一覧
町並 陸生


該当個所
p.9 下から11行目 T1シンチ TCシンチ


該当個所
p.13 図16 動脈 動脈造影


該当個所
p.30 「診断名」 ユーイング腫瘍 ユーイング肉腫


該当個所
p.55 図3B MRI T1 MRI T2


該当個所
p.213 最終行 脂肪腫型脂肪肉腫 脂肪腫様脂肪肉腫


該当個所
p.235 図7 切除材料 術中所見


該当個所
p.251 図4C MRI subtraction MRI T1造影subtraction

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