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病態・検査・診断・治療 診療所で診る足

整形外科医Dr.Inokuchiが贈る,プライマリ・ケア医のための足診療テキスト

定価:4,644円
(本体4,300円+税)

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著: 井口 傑
判型: A5判
頁数: 224頁
装丁: 2色刷
発行日: 2019年10月04日
ISBN: 978-4-7849-4855-0
版数: 第1版
付録: 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます)

──「足が痛い」「足が疲れる」「足がむくむ」…
プライマリ・ケア医の外来では,足の異常を訴える患者さんが多くいます。つまり,最初に患者さんに接する診療所や病院の一般医の先生方こそが足病変を見出し,足症状を全身疾患に結びつけ, 全人的医療を行いうる立場にいるのです。
本書はあのDr.Inokuchiが満を持して贈る,プライマリ・ケア医のための足診療テキスト。専門医に回す前に,目の前の患者さんにできる検査・できる診断・できる治療を行うためのノウハウを惜しげもなく開陳しています。専門医に紹介するのはそれからでも遅くありません。

診療科: 整形外科 整形外科

序文

最前線の外来に来る患者には,「足が痛い」,「足が疲れる」,「足がむくむ」など,足に関する訴えが多い。最初に患者に接する,診療所や病院の一般医こそが足病変を見出し,足症状を全身疾患に結びつけ, 全人的医療を行いうる立場にいる。だから「足は特殊だ」と専門医に回す前に,目の前の患者に,できる検査,できる診断,できる治療を行い,その上で精査や手術が必要ならば,専門医に紹介すればよい。
著者が下町の整形外科病院を受け継いでから,かれこれ半世紀になる。その後,事情があって病院を手放し,総合病院の医長から,大学の教職で定年を迎えるまで,足から始まって足に終わった医者人生と言える。幸いにして,大した災害にも遭わずに一生を過ごしてきたが, 災害地で医療活躍する若い医師たちの口から,「CTどころか,X線写真も撮れないから,骨折の治療さえできない」という悲鳴を聞いて,心が痛んだ。
戦後間もなく,貧しい田舎で結核医として開業した父が,借金してやっとレントゲンを買った。暗室から出て来て, 濡れたレントゲン・フィルムを窓にかざしながら,「これが結核だぞ。わかるか」と指差した,誇らしげな父の顔は,今でも忘れない。最近のCT,MRI,エコーなど,診断器機の進歩は目を見張るものがあり,インスタグラムやYouTubeを持ち出すまでもなく, そのイメージの持つ説得力は,医者ばかりでなく,患者にとってもまさに福音である。
しかし,一歩止まって考えてみよう。災害で電気,水道が止まったら, 骨折患者に何もできないのか? CTやMRIのない診療所では,まともな医療ができないのか? 診療科の数だけ,臓器の数だけ専門医がいなければ,無医村なのか?
たった半世紀前には,CTがなくても硬膜外血腫を診断し,脳外科医がいなくても患者を助けられていた。スマホにパソコン,インターネットと,どこにいても世界とつながり,情報が得られる今の世の中で,半世紀昔の真似をしろとは言わない。しかし一生懸命考えて,自己のベストを尽くしていけば,頭のてっぺんから足の先まで,何もできない専門分野などありはしない。
どうせ神の手を持つ専門医でも, 半世紀前には医学生でさえなかった。だから,卒業したての医者にだって,患者に直接向き合えば,何かできることがあるはずである。遠い専門医より,近くの一般医である。
半世紀,足で始まり足で終わった医者人生だったが,直立二足歩行をする人間の足ほど面白いものはなかった。足の専門医制度さえできそうな勢いだが,足を診るのに専門はいらない。舐めてみろとは言わないが,五感を研ぎ澄まし,「なぜか」「なぜか」と考えていけば,おのずと足下から全身が見えてくる。足は,専門外だ,関係ないと思っている人たちにこそ,「たかが足, されど足」の世界を覗いて頂きたい。きっと,自分の興味とつながる,何かが見えてくるに違いない。

令和元年9月
井口 傑

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