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健康寿命とロコモティブシンドローム【ロコモ認知度の向上が,要介護者の減少,ひいては健康寿命の延伸につながる】

No.4871 (2017年09月02日発行) P.54

青柳 潔 (長崎大学公衆衛生学教授)

登録日: 2017-08-31

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わが国の平均寿命は,戦後,生活環境の改善や医学の進歩により急速に延び,2015年では,男性80.75歳,女性86.99歳と世界トップクラスの長寿国となっている。「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」である健康寿命についても,13年時点で,男性71.19歳,女性74.21歳と世界トップクラスである。一方で,わが国の平均寿命と健康寿命の推移について見てみると,平均寿命,健康寿命ともに延びているが,日常生活に制限のある「不健康な期間」で見ると,01年から13年にかけて,男性で8.67年から9.02年,女性で12.28年から12.40年と若干広がり,縮まっていない。日常生活に制限のある「不健康な期間」の拡大は,個人や家族の生活の質の低下をまねくとともに,医療費や介護給付費等の社会保障費の増大にもつながる。

07年,日本整形外科学会は,「ロコモティブシンドローム(ロコモ):運動器症候群」を提言した。ロコモとは,運動器の障害によって,介護・介助が必要な状態になっていたり,そうなるリスクが高くなっていたりする状態をいう。健康日本21(第二次)では,22年度に向けて,その認知度を80%にすることを目標に掲げている。「全国ストップ・ザ・ロコモ協議会」の調査によれば,17年度ロコモ認知度は46.8%であった。ロコモ予防の重要性が広く知られるようになれば,それに伴って個々人の行動が変わることが期待され,要介護者の減少,ひいては健康寿命の延伸につながると考えられる。

【解説】

青柳 潔 長崎大学公衆衛生学教授

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