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膝が外れるような感覚を伴う繰り返す膝の外側痛の診断

No.4698 (2014年05月10日発行) P.68

斎藤 充 (東京慈恵会医科大学整形外科学講座准教授/診療副部長)

登録日: 2014-05-10

最終更新日: 2016-10-18

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【Q】

31歳の女性,2児の母。今年1月の朝,車に乗るときに右膝痛が出現。右膝が外れたような感じで,右膝外側が痛くなり,自分で右膝を伸ばすと元に戻ったように楽になる。
8歳の頃から,そう頻繁ではないが時に繰り返しており,たとえば右膝をひねる動作をするときに外れたような感じになる。今まで医療機関を受診したことはなく,小・中・高校生時代も特に問題なく体育・スポーツにも参加していたという。
以上のような症状でどのような診断・治療が考えられるか。 (秋田県 F)

【A】

膝が外れるような感覚を伴う膝の外側痛は,主に2つの膝疾患で生じることが多い。1つは膝蓋骨脱臼,もう1つは膝外側円板状半月板である。ともに外傷を契機に自覚症状を呈することが多いが,軽い症状は幼少時から自覚していることもある。
(1)膝蓋骨脱臼の症状
まず膝蓋骨脱臼について述べる。ジャンプや高所からの着地などで膝が過度に伸展された際などに発症する。膝蓋骨は外側に脱臼するが,自然に整復されることも多い。脱臼の際には膝屈曲位で起きた疼痛のため伸ばすことが困難となるが,膝を伸展しながら膝蓋骨を外側から内側へ押し込むようにすると整復される。そして整復後に痛みは軽減する。初回脱臼は10歳代,女性に生じることが多く,その後,約20~50%の患者が脱臼もしくは亜脱臼を繰り返し,反復性膝蓋骨脱臼となることがある。
通常,膝蓋骨は大腿骨の溝に入り込み,容易に脱臼しないような位置関係にあるが,脱臼を起こす患者や反復性膝蓋骨脱臼に移行する患者は,大腿骨の溝が浅いことや,膝蓋骨の形の異常,膝蓋骨に付着する腱・筋肉の走行バランスの異常など生まれつきの素因を持ち合わせていることが多い。また,脱臼や整復の際に,膝蓋骨や大腿骨の一部が損傷し,その後,そこを通り道として易脱臼性を呈することがある。
(2)膝蓋骨脱臼の治療
治療は,初回脱臼では,骨折を伴わない場合,整復後,ギプスや装具などで外固定を行う。この時,荷重歩行は可能である。脱臼を繰り返す場合には,大腿四頭筋の筋力訓練を行い,予防に努める。それでも繰り返す脱臼や膝痛を伴う場合には,手術療法も行われる。
手術は,膝蓋骨周囲の靱帯を再建する方法が一般的であるが,これに脛骨の膝蓋腱付着部周囲の骨切り術などを加える場合もある。
(3)膝外側円板状半月板の症状と治療
次に,膝外側円板状半月板について述べる。半月板は大腿骨と脛骨の間にあるクッションで,三日月状をしており,膝の外側と内側に存在する。半月板には激しい外力(スポーツ,転倒)で傷が入る。
しかし,生まれつき外側の半月板が三日月状より大きい円板のような半月状(外側円板状半月板)である場合,激しい外傷がなくても体重を支えきれずに傷が入ることがある。この際,半月板に傷が入ったことによる炎症の痛みと,傷が入って半月板が不安定になったことにより,膝の外れる感覚を自覚することが多い。
外側円板状半月板は多くの場合,両側性であるので,両膝に症状を感じる患者もいる。繰り返す症状や傷の入った半月板が膝の複雑な構造の中に挟まり込む,ロッキングという症状を呈する場合には,手術療法を検討する。
(4)本例への対応
膝蓋骨脱臼と膝外側円板状半月板の診断はともに,診察とX線やMRI(核磁気共鳴画像法)といった補助診断により比較的容易である。外れる感覚が軽度であるからといって放置していると,度重なる関節軟骨への過度な外力により軟骨は変性し,変形性関節症へと進行するので,早期に専門の医師の診察を受け,適切な治療を行うことを勧める。

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