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肩石灰沈着性腱炎[私の治療]

No.5236 (2024年08月31日発行) P.48

柴田陽三 (福岡大学筑紫病院臨床医学研究センター(整形外科)教授)

登録日: 2024-09-01

最終更新日: 2024-08-27

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  • 肩石灰沈着性腱炎は,肩腱板内に沈着したリン酸カルシウム結晶によって急性の炎症が生じ,肩の疼痛・運動制限を引き起こす疾患で,40~50歳代の女性に多くみられる1)
    夜間に突然生じる激烈な肩関節の疼痛で始まることが多く,痛みで睡眠が妨げられ,関節を動かすことができなくなる。発症後1~4週間強い症状を呈する急性型,中等度の症状が1~6カ月続く亜急性型,運動時痛などが6カ月以上続く慢性型がある2)

    ▶診断のポイント

    誘因なく急激に発症する疼痛とそれに伴う可動域制限が特徴である。単純X線で腱板の上腕骨の大・小結節への停止部近傍に石灰沈着を認める。時に石灰陰影を肩峰下滑液包全体に認めることがある。症状が遷延する場合は腱板断裂,感染症やリウマチ性を除外する。腱板断裂を合併している場合はMRIで診断が可能である。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    まず,患肢の安静をとるために三角巾とバストバンド固定を行い,鎮痛消炎薬を処方する。鎮痛消炎薬の内服で症状の寛解が得られない場合は透視下,あるいはエコー下にステロイド含有の局所麻酔薬を石灰沈着部位に乱刺する。それでも症状が改善しない症例には,関節鏡視下に石灰のデブリードマンを行っている。

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