株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

化膿性関節炎[私の治療]

No.5219 (2024年05月04日発行) P.40

星野裕信 (藤枝市立総合病院整形外科/副院長)

登録日: 2024-05-02

最終更新日: 2024-04-26

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 成人では,免疫能の低下した高齢者や関節リウマチ患者に合併することが多い。関節穿刺や関節内注射など医原性に発症することもある。また小児では,上気道感染,敗血症など一次感染巣から血行性に細菌が運ばれて,骨幹端が関節内に存在する股関節,膝関節,肘関節など,骨幹端部に発症した骨髄炎から関節腔内に細菌が侵入して発症することが多い1)。診断・治療が遅延すると関節破壊などの重大な合併症をきたすので,早期診断・早期治療が原則である。

    ▶診断のポイント

    全身症状として発熱が生じ,局所では関節の腫脹,発赤,熱感が認められ,強い疼痛を伴う。血液検査による炎症反応の高値を確認する。培養検査による細菌の同定が決め手であるが,培養が陰性のこともあり,臨床症状から疑うこともある。小児ではアトピー性皮膚炎を伴っていることもあり,皮膚疾患の問診は重要である。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    臨床症状や画像所見から化膿性関節炎を疑ったら,培養検査による細菌の同定が最も重要である。急性期であれば,血液培養検査と超音波エコーやMRIにより関節内液体貯留が確認でき次第,関節穿刺を行って,関節液の性状のチェック,塗抹染色,培養同定,感受性検査を実施する。

    診断が確定すれば,緊急で切開排膿を行い,関節内の減圧と洗浄,炎症性滑膜の可及的搔爬を行う。必ずドレナージを行い,局所安静のためにギプスシーネ固定を行うこともある。最近では,関節鏡視下による低侵襲での排膿,搔爬,ドレーン留置が可能になってきている。

    感受性検査の結果,起炎菌が同定でき,抗菌薬の感受性結果が判明したら,速やかに抗菌薬の静脈内投与を開始する。起炎菌が同定できない場合には,最も頻度の高いグラム陽性球菌に感受性の高い抗菌薬を投与する。

    残り1,153文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    公立小浜温泉病院

    勤務形態: 常勤
    募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・整形外科 各1名
    勤務地: 長崎県雲仙市

    公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
    現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
    2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
    6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

    当病院は島原半島の二次救急医療体制の救急告示病院として救急患者を受け入れています。
    又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。

    ●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
    今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問診療、訪問看護、訪問介護体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top