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肩峰下インピンジメント症候群[私の治療]

No.5188 (2023年09月30日発行) P.58

高橋憲正 (船橋整形外科病院スポーツ医学・関節センターセンター長)

登録日: 2023-09-28

最終更新日: 2023-09-26

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  • インピンジメントとは「衝突」という意味であり,肩峰下インピンジメント症候群(subacromial impingement syndrome:SIS)は,肩峰と腱板の接触により生じる痛みや可動域制限を引き起こす病態の総称である。そのうち腱板断裂や石灰性沈着性腱板炎などの明らかな解剖学的異常がない病態を,狭義の肩峰下インピンジメント症候群としている。

    ▶診断のポイント

    上腕骨頭は4つの腱板に覆われ,肩峰と烏口突起,その間の烏口肩峰靱帯からなるアーチの中に存在する。したがって,肩甲骨の位置やその動きに関与する胸郭のアライメントにも影響を受けている。肩甲骨の下制や肩甲胸郭関節の柔軟性の低下によって機能的なインピンジメントを生じるため,オーバーヘッドスポーツの愛好家や上肢を過度に使う仕事への従事者に好発する。

    SISの診断には,凍結肩,腱板断裂,石灰性沈着性腱板炎などとの鑑別が必要である。まず,問診にて痛みの性状(夜間痛,安静時痛,動作時痛の有無)を聴取する。ついで可動域制限の有無を調べる。SIS症例では,下垂位外旋に比べ屈曲や外転の制限が強く出ることが多い。これは全方向性に高度な制限を生じる凍結肩との鑑別に有用である1)。また,Neer, Hawkinsのインピンジメントテストなどの疼痛誘発テストで痛みを生じることが多いが,特異度は低いとされている2)。したがって,疼痛の性状,可動域制限の程度,疼痛誘発テストなどから総合的に判断する必要がある。

    典型的なSISの症例は,動作時痛が主体で,屈曲に中等度の制限があり,下垂位外旋制限は軽度である。また,外転位での疼痛誘発テストが陽性で,肩峰下滑液包へ局所麻酔薬とステロイドの注射をすると,可動域と疼痛が劇的に改善することが多く,診断の一助となる。

    画像診断では,単純X線検査で石灰の有無,肩峰や上腕骨大結節の骨棘を確認し,MRIや超音波検査で腱板断裂を確認する。肩甲下筋腱の部分断裂はMRIにおいてもしばしば見逃されるため,上腕二頭筋長頭腱症状が遷延する症例では,その存在を念頭に置いておく。

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