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足根管症候群[私の治療]

No.5180 (2023年08月05日発行) P.42

羽鳥正仁 (仙塩利府病院院長)

登録日: 2023-08-04

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  • 足根管とは,脛骨内果後面,距骨,踵骨内側と屈筋支帯により囲まれたトンネルで,この部位での脛骨神経の絞扼性神経障害が足根管症候群である。本症の原因としては特発性,滑膜炎なども挙げられるが,ガングリオン,距踵骨癒合症1)による圧迫が多い。

    ▶診断のポイント

    足底から足趾にかけてのしびれ,痛みを訴えて来院する。足底部に知覚障害がみられる。内側の知覚障害を呈する例が多い。足底のしびれで来院した患者に対し足根管症候群を想起することが,診断の第一歩である。稀に症状が下腿にまで及ぶこともあり,腰椎疾患と紛らわしいので,注意が必要である。足根管症候群の場合,痛み,しびれは内果後方から足底,足趾に限局される。ガングリオンが神経内に発生した神経ガングリオンの場合は,激烈な痛みを生じるのが特徴である2)

    ていねいな足関節,足部の診察が次に重要である。本症では,足根管部の圧痛や足底に放散するTinel徴候を呈するのが特徴である。ガングリオンなどの腫瘍性病変では弾性硬の腫瘤を,距踵骨癒合症の場合は骨様腫瘤を触知する。足関節を最大背屈,足部を外がえしさせ,さらに足趾をMTP関節で約10秒間最大背屈させ疼痛が増強するか調べるdorsiflexion-eversion test 3)は有用である。超音波検査で足根管部のガングリオンなどの腫瘤性病変,腱鞘の肥厚を調べる。単純X線,CTで関節のアライメント,骨の異常を調べる。距踵骨癒合症では,側面像で距骨下関節の後方の不整,嘴状の突出をみる。MRIでは,ガングリオンの場合はT1強調像で低信号,T2強調像で高信号,ガドリニウムで辺縁が造影される。神経鞘腫などの充実性腫瘍では内部も造影されるため,鑑別に有用である。

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