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骨形成不全症[私の治療]

No.5169 (2023年05月20日発行) P.50

二見 徹 (滋賀県立小児保健医療センター病院長)

登録日: 2023-05-20

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  • 骨形成不全症(osteogenesis imperfecta:OI)は,Ⅰ型コラーゲンの質的・量的異常により骨基質が脆弱となり,易骨折性を示す骨系統疾患である。代表的な責任遺伝子はCOL1A1,COL1A2である。臨床像・単純X線像に基づくSillence分類が用いられており,主に4型に分類される。軽症から周産期致死性の重症(Ⅱ型)に至るまで重症度の幅が大きく,重症度はⅡ>Ⅲ>Ⅳ>Ⅰ型,遺伝形式は常染色体顕性遺伝である。

    ▶診断のポイント

    易骨折性,歯牙形成不全,難聴,青色強膜が特徴である。小児期に易骨折性を認める場合には,本疾患を常に念頭に置く必要がある。

    診断は症状(A),検査所見(B),鑑別疾患(C)からなり,下記A 3項目以上かつB 3項目以上で,Cに該当しない場合,OIと診断する(definite OI)。

    【A(症状)】

    ①骨脆弱性:易骨折性(2回以上),進行性骨変形,②成長障害:-2SD以下の低身長,③青色強膜,④歯牙形成不全:色調異常,象牙質損傷,⑤難聴:30dB以上の低下,⑥家族性,⑦小児期の骨折歴

    【B(検査所見)】

    ①長管骨の変形・骨折,②変形を伴う細い長管骨,③頭蓋骨:Worm骨,④椎体圧迫骨折,⑤骨密度低下:同年齢基準値の80%未満

    【C(鑑別疾患)】

    被虐待児症候群,特発性若年性骨粗鬆症,低ホスファターゼ症,線維性骨異形成症,Ehlers-Danlos症候群などが対象。乳幼児期の被虐待児症候群では,骨傷が骨幹端部,骨端線近傍(corner fracture)に多く,OIにみられる頭部単純X線側面像でのWorm骨を認めない。陳旧様々な治癒段階にある骨折を複数認める,あるいは火傷などの皮膚病変や痕跡があれば虐待の可能性が高い。特発性若年性骨粗鬆症では,思春期前頃より骨折を認め,頸椎圧迫骨折と長管骨骨幹端部骨折を特徴とするが,思春期以降に骨脆弱性が改善する。周産期の良性型低ホスファターゼ症は,単純X線像でくる病様変化を認め,血清アルカリホスファターゼが400U/L以下を示す。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    【薬物療法】 

    早期に内科的治療を開始して骨折の予防と骨質の改善を図る。特に,重症型のⅢ型では小児科医と連携して,ビスホスホネート製剤〔パミドロン酸二Na(パミドロン酸二ナトリウム水和物)〕投与を早期に開始する。

    【整形外科的治療】
    〈保存療法〉

    軽症例では生活指導や運動制限を行い,骨折予防を図る。易骨折性の歩行可能な低年齢者では,大腿骨や下腿の骨折予防目的の補装具装着を検討する。

    〈手術療法〉

    四肢長管骨の変形・弯曲が進行性であれば,早めの変形矯正と髄内釘固定を行う。目安として3.0歳以上を手術対象とする。

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