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股関節インピンジメント (大腿骨寛骨臼インピンジメント)[私の治療]

No.5166 (2023年04月29日発行) P.55

金治有彦 (藤田医科大学ばんたね病院整形外科教授)

登録日: 2023-04-27

最終更新日: 2023-04-25

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  • 股関節インピンジメント(大腿骨寛骨臼インピンジメント,femoroacetabular impingement:FAI)は,股関節を形成する大腿骨や寛骨臼の骨形態異常のため,反復動作によって関節軟骨や関節唇などの股関節周辺構造に微細な損傷や変性をきたす疾患である。

    ▶診断のポイント

    症状:鼠径部痛,股関節痛,股関節可動域制限(特に内旋制限)。

    検査所見:FAIでは,特に股関節の屈曲や内旋の最終可動域において再現性のある鼠径部痛が生じる例が多いことから, 前方インピンジメントテストは診断上有用な徒手検査である。前方インピンジメントテストにおいて他動的な股関節屈曲100°での内転・内旋で疼痛が出現した場合には陽性と診断する。

    画像所見:単純X線撮影やCTを行い,寛骨臼や大腿骨頸部の骨形態異常を有するか否かを診断する。また,MRI(放射状を含む)を行い,関節唇損傷の有無・程度を評価する。

    分類:寛骨臼に骨形態異常があるpincer type FAI,大腿骨に骨形態異常があるcam type FAI,そしてpincer typeとcam typeが合併するmixed type FAIがある。pincer type, cam type, mixed typeいずれのインピンジメントにおいても,一般に関節唇の損傷が認められる。関節唇損傷は,寛骨臼前上部が好発部位であるが,寛骨臼の後下部にも認められる例も報告されている。

    FAIの診断指針を表に示す。

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