株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

膝離断性骨軟骨炎[私の治療]

No.5124 (2022年07月09日発行) P.52

中村憲正 (大阪保健医療大学保健医療学部教授,大阪大学国際医工情報センター招聘教授)

登録日: 2022-07-07

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 膝離断性骨軟骨炎(osteochondritis dissecans:OCD)は10歳代以降の思春期に好発する骨軟骨病変であり,男性に多い。進行すると関節面内部の軟骨下骨において分離,脱落して遊離体を形成する。病因としては繰り返す関節面への剪断力などの力学的要因,血流不全による骨壊死,骨端骨化不全等諸説がある。好発部位は大腿骨の内顆85%,外顆15%で,稀に膝蓋骨にも起こり,外側例では円板状半月に合併することが多い。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    初期では軟骨片は遊離せず,運動後の不快感や鈍痛が出現することもあるが,無症状の場合も多い。関節軟骨の表面に亀裂や変性が生じると疼痛が増強,水腫も出現し,スポーツ活動に支障をきたす。骨軟骨片が遊離すると,引っかかり感,轢音が出現し,可動域制限,ロッキングが生じる場合もある。

    【検査所見】

    初期病変は単純X線ではとらえがたく,MRI検査が有用である。OCDの病期分類には国際軟骨再生・関節温存学会の分類(ICRS分類)が広く用いられている(図)が,その中では関節軟骨,骨軟骨片の状態,母床との連続性が主要な着目ポイントとなる。MRI診断においてもこれらの項目を入念に確認する。特にT2強調像や脂肪抑制プロトン密度強調像での骨軟骨片と母床との間に存在する高信号領域の存在は病巣の不安定性を示唆するもので,治療方針の決定に有用である1)。骨軟骨片が分離,遊離してくる時期にはX線でも診断が可能となるが,その際は顆間窩撮影が診断に有用である。

    残り982文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top