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若年者腰椎分離症アスリートにおける骨癒合促進と早期のスポーツ復帰を目的とした新しい取り組みについて

No.4952 (2019年03月23日発行) P.53

武政龍一 (高知大学整形外科准教授)

登録日: 2019-03-25

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【最小侵襲の経皮的分離部固定術を考案,臨床応用し,良好な経過がみられる】

腰椎分離症は,活発にスポーツを行う小中高生における腰痛の主な原因となる。その病態は,主に腰部の伸展や回旋動作の繰り返しにより,腰椎関節突起間部に集中するメカニカルストレスによる疲労骨折である。腰椎分離症の初期や,進行期でも比較的早期の場合には,体幹装具固定を主体とする保存療法で骨癒合が期待できるが,癒合率は十分ではない上,骨癒合を得るには長期間(3~6カ月)を要する。その間スポーツを休止しなければならないため,競技スポーツに情熱を燃やす若いアスリートにとっては大きな問題となっている。

そこで当教室では,より早期のスポーツ復帰と分離部骨癒合率の向上をめざす取り組みとして,まだ分離症の終末期(偽関節)には至っていない,比較的早期の分離症を対象に,最小侵襲の経皮的分離部固定術を考案して,現在臨床応用しているところである。

考案した手術は,分離間隙に圧着力をかけながら,分離部を貫通して固定する経皮的スクリュー挿入による分離部固定法であり,固定性向上のため皮質骨比率の高い経路(cortical bone trajectory)にて挿入するよう工夫した。まだ実績は十分ではないが,県内トップレベルの小中高生アスリートを対象とした初期9例では,全例が術後すぐからジョギング程度の運動を継続しつつ,元のスポーツに平均8週で復帰することができている。骨癒合も平均8週で得られており,最長2年6カ月の経過で再発は認めていない。今後も慎重に症例を重ね,本法の有用性を検証していきたい。

【解説】

武政龍一 高知大学整形外科准教授

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