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【他科への手紙】総合内科→整形外科

No.4878 (2017年10月21日発行) P.53

筒泉貴彦 (愛仁会高槻病院総合内科主任部長)

登録日: 2017-10-18

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  • 整形外科の先生方には日々、大変お世話になっております。先生方が対応されている患者の病態を拝見していると高齢化社会の影響か、高齢者の転倒による大腿骨頸部骨折が非常に多いように思います。治療が遅れることによる廃用症候群の懸念から整形外科の先生方は迅速に外科的加療を施して下さいます。適切な加療がなされないときの高齢者の6カ月後の死亡率が50%というデータもあります。早期加療により離床も進めていくことができるので、ありがたい限りです。

    我々総合内科は高齢者が転倒された際は、骨折の有無にかかわらず、その原因を徹底的に調べることとしています。前述のように、発症することで大きく患者の予後に影響を及ぼしうる骨折を予防するにはやはり転倒しないようにすることが不可欠だからです。

    高齢者の診療は一般成人とはまったく異なるものであると我々は常々、肝に銘じて高齢者を診ています。高齢者では成人が有する急性期の病態以外にも身体機能低下、種々の基礎疾患、老年症候群という高齢者特有の生理的変化、および最近問題になっているポリファーマシーという内的素因が転倒の原因となります。極端な話をすると便秘症だけで意識の混濁を起こすことがあり、それに伴い転倒する患者もいます。成人診療で培った「普通は」という概念を取り除き診療に臨むことが必要です。環境面も大事です。我々からすると問題とならない階段や段差などの家屋の構造や履物1つとっても転倒のリスクとなることが知られています。看護師、リハビリテーションチーム、ソーシャルワーカー、ケアマネージャーらと多職種カンファレンスを行い、患者の環境面での充実を図ることに力を注いでいます。

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