監修: | 日本プライマリ・ケア連合学会 |
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判型: | B5判 |
頁数: | 240頁 |
装丁: | カラー |
発行日: | 2024年12月25日 |
ISBN: | 978-4-7849-6695-0 |
付録: | 無料の電子版(HTML版)が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます) |
◆ 週刊日本医事新報にて5年にわたり連載された「プライマリ・ケアの理論と実践」第101回から最終回までを単行本化!
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◆ プライマリ・ケアに真摯に向き合い、日々診療に励む多くの医師に送る渾身の1冊です!
本書は、Webコンテンツ(PDF版+HTML版)としても別途ご購入いただけます
◉第1章:慢性疾患ケアモデル
101 chronic care model 今後の研究や発展〜CCMは多疾患併存に有効か? 具体的な介入方法は?(大浦 誠)
◉第2章:「明日から実践できる」こどものみかた
102 総論〜過去と未来,個人と社会,すべてに手を差し伸べるのが小児医療(児玉和彦)
103 発熱〜基本に忠実に,検査も治療も最小限に(木村武司)
104 鼻汁・咳嗽〜Choosing wisely クスリはリスク お土産処方でDo No Harm!(継 仁)
105 嘔吐〜嘔吐の鑑別は広く,でもcommon is common(一ノ瀬英史)
106 腹痛〜たいてい便秘(症),でも時に地雷あり(北西史直)
◉第3章:多職種連携の必須知識 !
107 診療所看護〜地域看護におけるプライマリ・ケア機能の重要性(松井美春)
108 歯科医師・口腔ケア〜口腔機能はライフステージごとに関わり方がある(中根綾子,戸原 玄)
109 管理栄養士・栄養士〜疾患治療の栄養指導から全人的な栄養支援への展開(奥村圭子)
110 薬局薬剤師〜最適な薬物療法から安心の在宅療養提供まで幅広く支援(久保寺光徳)
111 訪問看護〜医師と訪問看護の連携で回避可能な入院を減らしたい(吉江 悟)
112 理学療法士〜実生活につながる理学療法の提供を!(宮田昌司)
113 作業療法士〜多様な生活行為だからこそ多職種での支援が必要(宇田 薫)
114 言語聴覚士〜豊かなコミュニケーションを支えます(内山量史)
115 鍼灸・マッサージ〜情報共有により病院内や地域の開業施術所との連携が可能(長谷川尚哉)
116 医療ソーシャルワーカー〜患者のニーズに共感し,自己決定を支援する(坪田まほ)
117 社会福祉士〜当事者の主体性を重視するソーシャルワーク実践者(中澤 伸)
118 介護支援専門員〜ケアプラン作成に重要な主治医意見書(小島 操)
119 介護従事者〜信頼関係と本人中心という価値観の共有(金山峰之)
120 保健師〜住民・社会を見て,つないで,動かしながら,予防的介入を実践(大澤絵里)
◉第4章:複雑困難事例
121 マルモ総論(バランスモデルの紹介)〜「つなナラ」と「3つのポリ」を意識しよう(大浦 誠)
122 マルチモビディティのパターン評価〜パターンに基づいた効果的・効率的なアプローチ(青木拓也)
123 ポリファーマシーをいかに減らすか〜「減らす」ことはあくまで手段であり,目的ではない(矢吹 拓)
124 ポリドクターとの付き合い方〜ケアの分断をいかに防ぐか(小坂鎮太郎)
125 ポリアドバイスにならないために〜そのアドバイス,「事実」と「意見」が混ざっていませんか?(小川太志)
126 ポリプロブレムのまとめ方〜個々の問題をドメインでまとめ,関係性に考慮して並び替えよう(佐藤健太)
127 社会的問題への介入 ─social vital signs〜患者の健康の社会的決定要因を把握する方法(横田雄也,小松真成)
128 マルモ事例における意思決定ジレンマ〜「正解」よりも「落としどころ」を(尾藤誠司)
◉第5章:臨床倫理
129 プライマリ・ケアにおける倫理的問題〜倫理的問題はひとりで考えず多職種で相談しよう(太田 浩)
130 外来での倫理事例 ─ 意思決定支援〜ラベリングのためではない,支援するために評価する(宮坂晋太郎)
131 在宅医療での倫理事例[1]〜意思決定能力がありそうながん患者への未告知は許される?(日下部明彦)
132 在宅医療での倫理事例[2]〜「落としどころ」を探るには(足立大樹)
133 地域の中での臨床倫理カンファレンス〜臨床倫理カンファレンスの実践(金城謙太郎)
◉第6章:リハ×プライマリ・ケア
134 リハビリテーション医学とは〈総論〉〜プライマリ・ケアとリハは切っても切れない(須田万豊)
135 ADL評価〜ADL評価を基に機能訓練,環境調整を行い,QOL向上をめざす(原嶋 渉)
136 ICFで包括的にとらえる〜生活機能は「生きることの全体像」(成瀬 瞳)
137 リハビリテーション処方とリスク管理〜処方箋を活用したコミュニケーションとリスク管理(新谷可恵)
138 杖・歩行器・車いすの基礎知識〜移動を知る,移動を診る(大野洋平)
139 外来でリハ科に紹介するポイント〜外来で遭遇しやすい3つのパターン(松浦広昂,和田勇治)
140 在宅診療とリハ〜在宅でもできるリハ/在宅だからこそできるリハ(望月 亮)
141 まちづくりとリハ〜病院からまちに出て社会参加を処方しよう(清水愛子)
142 障害者支援を考える〜持続可能な支援のために,私たちは何ができるだろう(鵜飼万実子)
◉第7章:不確実な問題への対処法
143 医療における不確実性〈総論〉〜不確実な状況から“逃げず”に“受け入れる”(朴 大昊)
144 分析とネットワークにおける不確実性〜診断と紹介での不確実性の扱い方のコツ(櫻井重久)
145 交渉とチームワークにおける不確実性〜「ガチ対話」からの最適解(井上和興)
146 不確実性を教育と患者の視点から捉える〜不確実性は学習者や患者と共有できる(遠藤美穂)
◉第8章:LGBTQの人々と医療
147 なぜ医療者がLGBTQについて学ぶのか〜健康格差に対して医療者ができること(久保田 希)
148 性の多様性の基礎知識〜SOGIを切り口に人間のありようをとらえ直す(金久保祐介)
149 医療者が個人でできること〜すべての患者に多様な性に配慮したコミュニケーションを(坂井雄貴)
150 医療機関でできること〜誰もがいられる場所であるために(山下洋充)
151 医療者がLGBTQについて学ぶその先に〜DE&Iと医療(吉田絵理子)
◉第9章:子どもの発達障害
152 総論〜発達障害診療はすべての子育て支援に通ず(一ノ瀬英史)
153 一般外来で診る子どもの発達障害〈前編〉〜「寄り添う力」を身につけよう(小橋孝介)
154 一般外来で診る子どもの発達障害〈後編〉〜関係者を「ねぎらい支える」(小橋孝介)
155 子どもへのアプローチ〜子どもの行動に対する対処法のレパートリーを増やそう(小橋孝介)
156 発達障害に関連する制度の整理〜各種制度の知識が,よりよい発達支援につながる(一ノ瀬英史)
◉第10章:健康の社会的決定要因
157 プライマリ・ケアにおける健康の社会的決定要因〜患者の背景にあるSDHを見出す(飯塚玄明,長嶺由衣子)
158 健康の社会的決定要因のエビデンス〜社会関係の欠如は1日15本の喫煙と同程度の早世リスク(長谷田真帆)
159 プライマリ・ケア現場でのSDHアセスメント〜プライマリ・ケアの現場でSDHに立ち向かう(水本潤希)
160 臨床現場におけるSDHを考慮した診療と学習法〜SDHの眼鏡をかけて患者理解を深める(武田裕子)
161 現代的SDHのトピックと対応法への示唆:社会的孤立〜社会的孤立とプライマリ・ケアの質(青木拓也)
162 多次元的な貧困と健康支援〜生活保護利用者のデータをもとに(西岡大輔)
163 ヘルスケアシステムにおけるプライマリ・ケア機能と健康格差〈前編〉
〜プライマリ・ケア機能とプライマリ・ヘルス・ケア(長嶺由衣子)
164 ヘルスケアシステムにおけるプライマリ・ケア機能と健康格差〈後編〉
〜エビデンスから見るプライマリ・ケア機能と健康格差の関連(長嶺由衣子)
◉第11章:Difficult patient encountersへの対応技法
165 総論 〜患者中心の医療と医療者自身のケアを向上させるために(鋪野紀好)
166 怒っている患者への対応〜良好な患者-医師関係形成のために(武田慧里子,鋪野紀好)
167 悪い知らせの伝え方〜SHAREプロトコルと共感的対応(横田雄也,鋪野紀好)
168 ノン・アドヒアランスへの対応〜解釈モデル,両価性,社会経済的状況といった隠れた要因(飯塚玄明,鋪野紀好)
169 発達障害の傾向のある患者とのコミュニケーション〜コミュニケーションが困難な理由に疑問を持ち,問いかけよう(鎌田 雄,鋪野紀好)
◉第12章:診療所における教育
170 遠隔教育(離島の医師同士による学習ネットワーク構築)〜遠隔振り返りによる離島医師の学びの円滑化(黒田 萌,黒田 格,太田龍一)
171 初期臨床研修〜診療所での初期臨床研修で大切なこと(藤原和成)
172 卒前高学年(長期滞在型臨床実習)〜地域での教育こそ地域医療の鍵である(桐ケ谷大淳)
173 卒前中学年(地域包括ケアシステムの事例を通したフィールド実習)〜ケースとコミュニティの両方の目線を育むインタビュー調査(松井善典)
◉第13章:学生の活動との関わり
174 大学と学生サークル ─ 序文・総論〜将来の仲間を増やすために!(吉村 学)
175 大学と学生サークル ─ 現在進行形〜もっと教員,もっと地域の関わりを!(吉村 学)
176 大学と学生サークル ─ スタートアップ〜学生発 地域のほけんしつ活動(今西 明)
177 地域診療所と学生サークル ─ 再始動〜サークル活動の効果と要点(藤谷直明)
178 学校を越えた出会いと学び ─ サードプレイスIPE/IPL〜アイデンティティーと出会いの時間軸(大村裕佳子)
◉第14章:小児虐待
179 子ども虐待の今〜子どもの心身の安全と権利を守り,決して取り残さない(丸山大地)
180 子ども虐待を疑う際のTips〜虐待対応の第一歩は,子ども虐待に気づくこと(丸山大地)
181 子ども虐待を疑った後の対応〜気づいた後は,関係機関につなぐ(丸山大地)
◉第15章:プライマリ・ケアとオンライン診療
182 オンライン診療でプライマリ・ケアを実践するための,6つの問いかけ〜オンライン診療の,最新の提供ルールのまとめ(吉田 伸)
183 オンライン診療で,うまく診察・診断するコツ〜患者と一緒に見せ方・映り方を工夫しよう!(堀越 健)
184 オンライン診療のトラブルシューティングとリスクマネジメント〜オンライン診療を安全・適切に行うために(黒木春郎)
185 オンラインでつながる診療と服薬指導のニューノーマル〜想定すべき薬局・薬剤師のニューノーマル(狭間研至)
186 第4の診療形態を得て,家族に広がるプライマリ・ケア〜効率化だけではないオンライン診療の利点とは?(大橋博樹)
187 へき地・離島のオンライン診療〜島全体にプライマリ・ケアを届けるために(陣内聡太郎,原田昌範)
188 デジタルヘルスとプライマリ・ケア〜新たな技術を活用した次世代のプライマリ・ケアを考える(小林知貴)
◉第16章:2040年に期待するプライマリ・ケア
189 2040年に期待するプライマリ・ケア[1]〜本章の紹介・導入(長嶺由衣子)
190 2040年に期待するプライマリ・ケア[2]〜行政経験者の立場から〜プライマリ・ケアが担う範囲(唐澤 剛)
191 2040年に期待するプライマリ・ケア[3]〜看護の立場から(酒井郁子)
192 2040年に期待するプライマリ・ケア[4]〜薬剤師の立場から(光本篤史)
193 2040年に期待するプライマリ・ケア[5]〜リハビリテーション職の立場から(陣内裕成)
194 2040年に期待するプライマリ・ケア[6]〜ソーシャルワーカーの立場から〜地域の看取り時代におけるプライマリ・ケア(西出真悟)
195 2040年に期待するプライマリ・ケア[7]〜経済学者の立場から(権丈善一)
196 2040年に期待するプライマリ・ケア[8]〜日本プライマリ・ケア連合学会の立場から(草場鉄周)
◉第17章:編集委員より
197 メディカル・ジェネラリズム〜人を癒すプライマリ・ケアの心臓部(加藤光樹)
198 自治体保健師との関わり〜保健師と連携した地域へのアプローチ(三浦太郎)
199 AI時代に求められる医療者とは?〜人間が本来持つ「人間らしさ」を見つめる(山本 祐)
200「越境」から考えるプライマリ・ケア〜「後追い」からしぶとく始めること(宮地純一郎)
201 プライマリ・ケアの担い手をどう増やすか〜社会のニーズに対応するために(喜瀬守人)
202 こんな感じで役立ちました! 私の連載活用術〜様々な場面で役立つ珠玉の記事たち(福井慶太郎)
刊行にあたって
本書は2021 年に刊行された『プライマリ・ケアの理論と実践』の続編である。日本医事新報に2019年より5年にわたって計203 回連載されたこの企画は大変好評を頂き,第1回から第100回までをまとめた前著も多くの実践家にとって頼りとなる書籍としてご評価を頂いた。
今回掲載した第101 回から最終回までの内容も,日々活用できる知識や技能はもちろんのこと,プライマリ・ケアを特色づける理論的な枠組みまで実に幅広く網羅している。「こどものみかた」「多職種連携の必須知識」「マルチモビディティ」「ポリファーマシー」「プライマリ・ケアでの倫理的問題への対応」「リハビリテーション」「LGBTQ の人々と医療」「子どもの発達障害」「健康の社会的決定要因」「困難な患者への対応」「医学生へのプライマリ・ケア教育」「オンライン診療」「2040年に期待するプライマリ・ケア」といった,実に色彩豊かなテーマが並んでいる。
前著に比べると,現在,日本社会で喫緊の課題となっているテーマが多く,これから10年先を見据えたプライマリ・ケアの実践のためには欠かせない視点と言ってよいだろう。ぜひ,宝箱のような論考から大きなヒントを得て頂きたい。
2024年も終わろうとする今,医療界でもかかりつけ医機能の強化というテーマが医療政策の中心課題となり,表現は異なるが,まさにプライマリ・ケアに焦点が当たりつつあることを実感している。人口減少と超高齢化,そして地域偏在も進む中,医療の基盤であるプライマリ・ケアの重要性がさらに増していくことは疑いないだろう。本書を通じて学びを得た読者の皆様が,プライマリ・ケアの担い手として地域で大いに活躍されることを切に祈りたい。
2024年12月 日本プライマリ・ケア連合学会理事長
草場鉄周