株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

距骨骨軟骨損傷[私の治療]

No.5276 (2025年06月07日発行) P.51

中佐智幸 (広島大学大学院医系科学研究科整形外科学人工関節・生体材料学准教授)

生田祥也 (広島大学大学院医系科学研究科整形外科学)

安達伸生 (広島大学大学院医系科学研究科整形外科学教授/同大学病院病院長)

登録日: 2025-06-10

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 距骨骨軟骨損傷は,軟骨下骨が損傷し,骨軟骨片が剝離する,また,軟骨下骨に囊腫を形成することで足関節痛が生じる疾患である。日常診療で遭遇することも多く,足関節捻挫などの足関節外傷による強い外力で生じるだけでなく,足関節捻挫後に持続する不安定性による反復性の微小外力によって関節軟骨や軟骨下骨が損傷して発生することが多い。したがって,活動性が高く捻挫の機会が多いスポーツ選手に多くみられる。しかし,明らかな外傷歴のない症例や両側例も存在する。スポーツ選手のパフォーマンス低下や荷重時痛などの日常生活に支障が出るだけでなく,関節症変化をきたすこともあるため,的確な診断と治療が必要である。

    ▶診断のポイント

    距骨骨軟骨損傷に特徴的な症状はなく,足関節の漠然とした痛みを訴えることが多い。荷重時の痛みを訴えることもある。足関節外側靱帯損傷を合併していることも多く,足関節の不安定性を評価する。距骨骨軟骨損傷の診断は画像が中心となり,単純X線,CT,MRIを用いて評価する。単純X線では,距骨骨軟骨損傷の約50%しか診断できないと言われており,CT,MRIでの検査が必要となる。MRIにて,病期を確認し,骨軟骨片の不安定性を評価する。骨軟骨片が不安定であれば,分界層への関節液流入により,分界層にT2強調画像で高信号を認める。MRIにて骨髄浮腫を認めることがあるが,これは脆弱な骨組織や微小囊腫を反映している。足関節外側靱帯損傷を合併していることも多いので,併せて評価する。CTでは,主に病変部の大きさ,深さの評価を行う。特に,骨軟骨片の骨吸収の程度や母床の骨硬化,軟骨下骨囊腫を評価する。

    残り1,483文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    公立小浜温泉病院

    勤務形態: 常勤
    募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・整形外科 各1名
    勤務地: 長崎県雲仙市

    公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
    現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
    2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
    6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

    当病院は島原半島の二次救急医療体制の救急告示病院として救急患者を受け入れています。
    又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。

    ●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
    今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問診療、訪問看護、訪問介護体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top