株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

頸椎椎間板ヘルニア[私の治療]

No.5241 (2024年10月05日発行) P.39

山崎正志 (筑波大学名誉教授,いちはら病院名誉院長)

登録日: 2024-10-04

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 頸椎椎間板ヘルニアでは,髄核を主体とする椎間板の一部が逸脱して脊髄・神経根を圧迫することにより症状を呈する。神経症状は,ヘルニアが後外側に突出し神経根を刺激する神経根症,およびヘルニアが後正中に突出し脊髄を刺激する脊髄症に大別される1)

    ▶診断のポイント

    【神経根症】

    通常は,一側上肢の当該神経根支配領域への放散痛が生じ,続いて感覚鈍麻,脱力,腱反射低下などの神経脱落症状を呈する。Spurlingテストなどの疼痛誘発テストが診断に有用である1)

    【脊髄症】

    手指のしびれ感,体幹・下肢の感覚鈍麻が両側性に出現することが多い。手指の巧緻運動障害,痙性歩行障害,排尿障害を呈する。上肢の症状がまず出現し,続いて下肢症状を呈することが多い1)

    【画像診断】

    頸椎単純X線像で,ヘルニア発生高位の椎間板腔は狭小化することが多い。脊柱管前後径が13mm以下では脊柱管狭窄と判断され,脊髄症発生の危険性が高くなる。MRIは圧迫因子と脊髄・神経根の関係を立体的にとらえることができる。T2強調像で新たに発生したヘルニア塊がよく描出され,くも膜下腔圧迫状況が把握可能となる。脊髄圧迫部位を中心に髄内が白く高信号となっている場合は,脊髄の不可逆性変化を示している可能性がある1)

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    脊髄症が重度の場合を除き,まず保存療法が選択される。特に神経根症の場合は,保存療法にて軽快する確率が高い。

    重症の脊髄症,すなわち,日常生活動作に不自由な手指巧緻運動障害,歩行困難を伴う痙性歩行障害,膀胱直腸障害が明らかな場合は手術適応となる。また,保存療法に抵抗性の,耐えがたい上肢痛を有する神経根症では,手術が適応されることがある1)

    残り1,311文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    長崎県五島中央病院

    勤務形態: 常勤
    募集科目: 整形外科 1名
    勤務地: 長崎県五島市

    当院は下五島地域唯一の基幹病院として、長崎大学病院等と連携しながら、五島で完結できる医療を目指しています。
    離島内の他の医療機関では出来ない高度・専門医療や離島で不足しがちな救急医療、周産期・小児医療、精神科医療、回復期医療を提供することで“郷診郷創”(地域での受診が地域を創る)を進めています。
    共に地域医療を担っていただける医師を募集しています。

    当院は癌などの専門的治療の他、精神・結核などの政策医療、24時間2.5次救急にも対応しています。
    3次救急患者については、遠隔画像伝送システムを利用し、本土までヘリコプター搬送して住民の命を守っています。
    また、基幹型臨床研修病院として、研修医の受け入れも行っています。
    ロケーション的には、美しい海と豊かな自然に恵まれ、四季を通じて、マリンスポーツや釣りが楽しめます。

    ショッピング等については、中型・大型のスーパーが数店舗あり、ファミリーレストラン・コンビニエンスストアもありますので、基本的に不便を感じることはないと思います。
    食に関しては、五島牛や新鮮な魚介類、季節の旬な野菜が何時でもおいしく食べることができます。
    共に五島で働きましょう。

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top