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頸椎椎間板ヘルニア[私の治療]

No.5021 (2020年07月18日発行) P.46

土井田 稔 (岩手医科大学医学部整形外科学講座主任教授)

登録日: 2020-07-18

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  • 頸椎椎間板ヘルニアは,椎間板組織が線維輪を破って後方あるいは後側方の脊柱管や椎間孔に突出することにより,頸部痛,神経根症あるいは脊髄症を呈する疾患である。40~60歳代の男性に多く,神経根症を引き起こすヘルニアはC6/7椎間,脊髄症を引き起こすヘルニアはC5/6椎間が最も多い。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    神経根症は頸部,肩甲骨周囲や上肢にかけての疼痛で発症し,徐々に障害神経根領域のしびれ,筋力低下,知覚障害が生じる。頸椎後屈で症状の再現あるいは増悪がみられる。

    脊髄症は,手指のしびれ,書字,箸の使用やボタンかけが困難といった手指巧緻運動障害で発症することが多い。進行すれば下肢や体幹のしびれ,歩行障害,膀胱直腸障害なども生じる。

    【検査所見】
    〈神経学的検査〉

    神経根症では,罹患椎間に対応する神経根が障害される。これらの障害神経根に一致した深部腱反射の減弱,筋力低下,知覚障害を呈する。

    一方,脊髄症では,脊髄圧迫による髄節徴候として,上肢の深部反射の減弱,筋力低下,知覚障害を認め,索路徴候として,下肢腱反射の亢進,下肢や体幹の知覚障害,排尿障害を認める。

    〈単純X線検査〉

    椎間板ヘルニアを直接描出することはできないが,後縦靱帯骨化症,骨棘形成などの情報を得ることができる。椎間腔の狭小化は少ない。

    〈MRI〉

    ヘルニアはT1強調矢状断像にて,脊髄と等信号で椎間板に連続した腫瘤像として描出される。T2強調画像では,くも膜下腔が高信号強度として描出され,その圧迫により椎間板ヘルニアの診断が可能である。横断像では,ヘルニアの脱出部位と脊髄,神経根の圧迫状態が観察される。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    神経根症の予後は比較的良好であるため,保存療法が中心となる。薬物療法,安静,頸椎カラーの装着などを行う。保存療法無効例や筋力低下など神経脱落症状の著しい例は,手術療法を検討する。

    脊髄症が比較的軽度の場合は,頸椎の安静を第一として,薬物療法や頸椎カラーなどの保存療法を行う。ヘルニアの消退によって,症状が寛解する症例がある。一方,保存療法に反応しない症例や運動機能障害の進行がみられる症例では,脊髄の不可逆的変化を最小限にとどめるため,早期に手術を検討する。

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