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肩石灰沈着性腱炎[私の治療]

No.5006 (2020年04月04日発行) P.47

浜田純一郎 (桑野協立病院整形外科・トレーニング部門部長)

登録日: 2020-04-03

最終更新日: 2020-03-31

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  • 肩石灰沈着性腱炎は,肩関節の腱板に沈着した石灰物質(炭酸アパタイト結晶)による結晶誘発性腱板炎・肩峰下滑液包炎である。肩関節をまったく動かせないほどの痛みを訴える急性炎症例が多いが,石灰の機械的刺激による肩関節運動時痛を特徴とする慢性炎症や,強い拘縮に至る症例もある。人口の2.7~7.5%が罹患し,発症年齢は52歳(29~85歳)と中年に多く,女性の頻度は57~83%である。近年,石灰物質の形成メカニズムに関する研究が多くなされ,局所の石灰化抑制物質の濃度低下に伴い自己増殖能を有する無機質-蛋白質複合体が形成され,炭酸アパタイト結晶に成長することが明らかになった。しかし,中年女性に多く発症する機序はいまだ不明である。

    ▶診断のポイント

    本症の病態は急性型,亜急性型,慢性型,拘縮型の4種類に分類され,急性型では中年女性,激しい肩関節痛,単純X線上の石灰像,の3点が診断のポイントである。石灰沈着部位は棘上筋腱がほとんどであり,突然の激しい痛みのため肩を動かせないという主訴で来院する。石灰沈着部位が1箇所ではない症例もあり,三次元CT画像で石灰の部位を正確に把握する。水平内転時および90°外転位の90°外旋から内旋に切り返すときに痛みがあり,肩峰下インピンジメント徴候が陽性なら慢性型である。拘縮型の頻度は少ないものの,無症候性の石灰沈着に凍結肩を合併した症例や,亜急性型・慢性型に二次性拘縮を合併した症例との鑑別が必要である。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    4種類の病型により治療方針が異なる。また,石灰の大きさも症状に影響し,慢性型,拘縮型では急性型,亜急性型より石灰のサイズが大きい。急性型と亜急性型の治療は肩峰下滑液包へのステロイド注射と消炎鎮痛薬の内服である。慢性型にはステロイド注射と消炎鎮痛薬の内服をまず選択し,それでも症状が残存する症例には,石灰部位への穿刺術または対外衝撃波で石灰を消失または縮小させる。石灰のサイズが大きい症例や拘縮型には石灰の外科的摘出術を勧める。

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