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認知症患者の治療同意能力・判断能力の評価方法【治療内容によって必要な同意能力を判断。MacCAT-Tなど,適宜有用な評価法を用いる】

No.4871 (2017年09月02日発行) P.58

上村直人 (高知大学医学部附属病院精神科講師)

成本 迅 (京都府立医科大学大学院医学研究科精神機能病態学教授)

登録日: 2017-08-30

最終更新日: 2017-08-29

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  • 認知症患者がますます増加し,一般病院においても多数の人が治療を受けていると予想されます。最近は認知症患者でも自分の意思に基づいた治療内容や治療方針の決定が推奨されていますが,認知症患者では判断能力をどのように評価し,考えるべきかがわかりません。そこで実際に判断能力を評価する方法に現在どのような手法があり,どのような点に注意すべきか,京都府立医科大学・成本 迅先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    上村直人 高知大学医学部附属病院精神科講師


    【回答】

    認知症患者に治療の説明をして同意を得たものの,本当に内容を理解してくれているのか不安になった経験はないでしょうか。特にアルツハイマー型認知症の人には,取り繕いがみられることから,理解しているように見えて実はまったくわからないまま同意しているケースがあります。このようなときには,オープンクエスチョンで質問したり,こちらの説明について自分の言葉で説明してもらったりする方法が有効です。

    侵襲性が高く,予後に大きく影響するような治療に関する意思決定においては高い同意能力が必要とされます。一方で,予防接種など侵襲性の低い治療やメリットが明らかな治療については,認知機能が低下していたとしても「同意能力あり」と判定できる場合もあります。必要とされる同意能力は,このように治療の内容によって変化してきます。

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