軽度認知障害(mild cognitive impairment:MCI)とは,健常と認知症との中間の状態で,認知機能低下が客観的にみられ,認知症へ進展する可能性が高い,認知症の前駆段階である。ひとつの疾患単位ではなく,様々な原因疾患が存在する。
患者あるいは家族などの情報提供者からの病歴聴取や,認知機能検査による客観的な認知機能低下を確認し,さらに,手段的日常生活動作(IADL)はおおむね自立していることを確認してMCIと診断する。MCIの原因疾患を診断するために,血液検査や頭部MRI検査を行う。アルツハイマー病(AD)によるMCIが考えられた場合,抗アミロイドβ(Aβ)抗体薬の適応を判断するため,アミロイドPET検査あるいは脳脊髄液(CSF)検査を施行し,Aβ病理を示唆する所見を確認して治療を開始する。
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