編著: | 小川純人(東京大学大学院医学系研究科老年病学) |
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判型: | A5判 |
頁数: | 242頁 |
装丁: | 2色刷 |
発行日: | 2023年02月15日 |
ISBN: | 978-4-7849-1393-0 |
版数: | 第1版 |
付録: | 電子版付き |
高齢女性診療でよくある質問について、相手を安心させ、スムーズに診療をすすめるための回答がQ&A形式で分かります!
◆ポスト更年期(=更年期を過ぎた50代後半以降)の高齢女性には、高齢者特有の悩み、女性特有の悩みが存在します。
◆外来で高齢女性特有の悩み・不安を相談されたとき、どう答えれば分かりやすいか、その答えの根拠は何かを、最新のエビデンスを交えて解説しました。
◆高齢女性の診療、看護、介護、ケアの日常現場で役に立つ1冊です。
高齢者において,身体・認知機能や生理機能は加齢に伴ってしだいに低下することが知られており,腎臓などの臓器予備能や安静時・負荷時に対する抵抗力の低下も伴いやすい。また,こうした様々な機能低下は老年疾患や老年症候群の発症・進展と関連していると考えられており,「加齢に伴う種々の機能低下を基盤とし,種々の健康障害に対する脆弱性が増加している状態」であるフレイルなども含まれる。
中でも,女性では加齢に伴う生殖内分泌器官の機能低下により,閉経に代表されるような女性ホルモンの動態にも大きな変化が認められる。また,ADL(activities of daily living)やQOL(quality of life)の低下に影響する認知症,骨粗鬆症などの発症には性差が認められ,特にアルツハイマー型認知症の場合には女性では男性と比較して2~3倍程度発症率が高いことが知られている。さらに,女性は男性に比べて平均寿命や健康寿命が長いため,男女で両寿命の差も長くなる。そうすると年齢とともに要介護高齢者における女性の割合は男性と比べて増加し,ADLやQOLの低下を伴いやすいとされる。加えて,要介護の原因疾患として女性では男性と比較して骨折・転倒や認知症の割合が高く,高齢女性には女性特有の悩みも多く存在する。
本書では「高齢女性診療Q&A~患者さんからの質問に答えるためのエッセンス~」と題して,ポスト更年期の高齢女性を念頭に日常診療で比較的よく遭遇する疾患や症状を取り上げた。その中で特に,高齢女性患者からの不安や質問にどのように答えればよいかという点に主眼を置き,各分野の第一線で活躍の先生方よりわかりやすく解説いただいた。本書を通じて,高齢女性によく認められる疾患・症候や不安に関する理解がいっそう深まるとともに,ひいては高齢女性の診療,看護,介護,ケアの日常現場において広く活用されることを期待する。
東京大学大学院医学系研究科老年病学
小川 純人
下記の箇所に誤りがございました。謹んでお詫びし訂正いたします。