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圧迫性ニューロパチー(手根管症候群などの単ニューロパチー)[私の治療]

No.5288 (2025年08月30日発行) P.35

黒川勝己 (川崎医科大学総合医療センター内科部長/教授)

登録日: 2025-08-27

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  • 圧迫性ニューロパチーとは,解剖学的に末梢神経が圧迫されやすい部位で生じる単ニューロパチーであり,手根管症候群(carpal tunnel syndrome:CTS)をはじめとしたコモンな疾患が多い。

    ▶診断のポイント

    単一末梢神経支配領域の運動感覚障害を呈する。CTSを中心に代表的な4つの病態について述べる。

    【手根管症候群(CTS)】

    最も頻度の高い単ニューロパチーであり,手根管で正中神経が圧迫されることにより生じる。正中神経領域である母指,示指,中指および環指橈側の指先を主体としたしびれ感・疼痛がある。それらは起床時に強く,疼痛による夜間覚醒,手を使う動作での増悪,手を振ることで軽快するなどの特徴があり,Tinel徴候,Phalen徴候は診断を支持する。進行期には母指球筋萎縮を認める。神経伝導検査(nerve conduction study:NCS)にて手根管部での障害を確認する。また,原因疾患(糖尿病,甲状腺機能低下症,透析など)の検索を行う。

    【肘部尺骨神経障害】

    尺骨神経が肘部で圧迫されることにより生じ,尺骨神経領域である環指尺側および小指の感覚障害,小指外転筋の筋力低下などを認め,NCSで肘部での障害を確認する。

    【橈骨神経麻痺】

    上腕部で橈骨神経が圧迫されることにより急性発症し,下垂手となる。手背橈側に感覚障害を認める場合もある。NCSで上腕部での伝導ブロックを確認する。

    【腓骨神経麻痺】

    腓骨頭部で腓骨神経が圧迫されることにより発症し,下垂足となる。足背などに感覚障害を認める場合もある。NCSで腓骨頭部での伝導ブロックを確認する。

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