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腰部脊柱管狭窄症と腰椎椎間板ヘルニアで仰臥位の症状に対する自己評価点数が異なる理由は?【症状との関連性の強さにより,配点は異なる】

No.4863 (2017年07月08日発行) P.63

宮腰尚久 (秋田大学大学院医学系研究科整形外科学准教)

登録日: 2017-07-05

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  • 第4835号(2016年12月24日)特集35ページの表 5,東北腰部脊柱管狭窄研究会による「LSSとLDHに対する自記式診断サポートツール」中の質問4「しびれや痛みで,あしを伸ばしてあおむけに寝るのがつらい」に腰部脊柱管狭窄症(lumbar spinal stenosis:LSS)診断の配点がありませんが,質問7(立位での痛み)での配点は5です。LSSにおいて仰臥位は立位と異なり狭窄が軽減するのでしょうか。秋田大学・宮腰尚久先生のご教示をお願いします。

    (埼玉県 I)



    【回答】

    LSSでは,仰臥位に比べて立位で脊柱管がさらに狭くなります。これは,立位では脊椎に加わる荷重により,腰部脊柱管の構成要素である椎間板の膨隆や黄色靱帯のたわみが生じるためです。その結果,表 5の質問7の症状「しばらく立っているだけで,太ももからふくらはぎやすねにかけてしびれたり痛くなる」が生じます。逆に,仰臥位では立位よりも狭窄が軽減しますので,症状も軽くなります。

    一方,腰椎椎間板ヘルニア(lumbar disc herniation:LDH)では,ヘルニアが発症したときには自発痛もありますし,仰臥位であってもヘルニアによる神経の圧迫が強くなることがあるため,質問4の症状「しびれや痛みで,あしを伸ばしてあおむけに寝るのがつらい」が生じえます。しかしながら,LSSでは,仰臥位で脊柱管の狭窄が軽減しますので,質問4のような症状は生じにくくなります。

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