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悪性骨・軟部腫瘍におけるPET検査の有用性【より的確な治療方針の決定にあたり,必須の検査となりつつある】

No.4862 (2017年07月01日発行) P.52

山上佳樹 (香川大学整形外科)

登録日: 2017-06-29

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fluorine 18 fluorodeoxyglucose(FDG)を使用したポジトロン断層撮影(positron emission tomography:FDG-PET)は,グルコース代謝が亢進した組織を画像化する核医学検査であり,FDGの集積の程度を主にSUV(standard uptake value)を用いて表す。SUVmaxが高値を示す良性腫瘍,もしくは炎症性腫瘍類似疾患では,最終的な診断は病理所見に頼らざるをえない。しかし,骨腫瘍の腫瘍学的悪性度とFDG-PETの関係では,悪性度とSUV maxの比較において,有意な差を認めた1)としているように,特殊な場合を除き,ある程度の相関があるものと考えられる。

病期診断の際には,転移巣の有無の評価が必要となるが,転移巣が肺に存在してもリンパ節に存在しても描出が可能であることから,より正確な病期診断が可能であると考えられる。

現在,FDG-PET/CTは,病期診断における保険適用が認められているものの,悪性度の診断には使用できない。しかし,悪性骨・軟部腫瘍の診断では,限界があるとはいえ,必須の検査となりつつある。ほかの画像所見と併せた総合的な判断によって,より的確な治療方針の決定が可能であると考えられる。

【文献】

1) 高橋 晃, 他:関節外科. 2008;27(3):333-8.

【解説】

山上佳樹 香川大学整形外科

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