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人工股関節置換術の最近の進歩【筋肉を切らずに股関節に到達する方法など多様な低侵襲手技を導入】

No.4854 (2017年05月06日発行) P.53

岩田 憲 (香川大学整形外科講師)

登録日: 2017-05-03

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人工股関節置換術は従来,侵襲の大きな手術と位置づけられていたが,最近ではより小さな皮膚切開や筋肉を切らない侵入方法,あるいはインプラントの小型化など,様々な低侵襲手技が提案・実践されてきている。

当科における人工股関節置換術は,筋組織の損傷を減らすため筋肉を切らずに股関節に到達できる前方アプローチ方法を導入し,骨切除量も減らすため小型のインプラントを使用して良好な成績をおさめている。前方アプローチとは股関節前方にある縫工筋と大腿筋膜張筋の間から侵入する方法で,筋組織を横切することなく股関節に到達することができる。このため立位歩行に最も重要な中殿筋の損傷がなく,股関節の安定性に大事な小外旋筋群を温存することが可能であるため,術後の脱臼のリスクが軽減される。また,筋肉を切らないことで術後疼痛が少なくなり,早期からの歩行訓練開始もスムーズに行える。小型のインプラントは従来型と同じ安定性を有しながらも,切除される骨の量が少なくすむ。そのため,骨の量が確保され,将来の入れ替え手術などにおいて有利に働くと考えられている。

上記のような低侵襲の人工股関節置換術は,従来の方法よりも手技が難しく,すべての医療機関で受けられるわけではない。また,手術の適応となる変形性股関節症や関節リウマチ,大腿骨頭壊死症,外傷などの疾患は多岐にわたるが,正しい診断が必要であるため,股関節診療の専門医師にかかり,適切な診断のもとに治療を受けることをお勧めする。

【解説】

岩田 憲 香川大学整形外科講師

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