腰部脊柱管狭窄症(lumbar spinal stenosis:LSS)の概念は,1954年にVerbiest(J Bone Joint Surg Br. 1954;36-B(2):230-7)が,起立・歩行によって下肢症状が増悪し,安静休息で寛解するという間欠跛行を主徴とする7例の症例報告をしたのがはじめと言われている。わが国では1970年に当時の東北大学整形外科の若松英吉教授(整形外科. 1970;21:1-7)により,LSSという病気がわが国にもあるとのことで,13例の症例報告が初めてなされた。それが今や有病者は580万人と推定される「国民病」と言ってもよいほどの病気になった。
本特集ではLSSの基本事項である疫学,鑑別診断,保存療法について第一線で活躍されている先生方にわかりやすく解説して頂いた。本特集が読者の皆さんの日常診療に役立つことを願っている。
1 腰部脊柱管狭窄症の疫学
和歌山県立医科大学紀北分院脊椎ケアセンター 石元優々
和歌山県立医科大学整形外科学教室教授 吉田宗人
2 腰部脊柱管狭窄症の診断サポートツール・鑑別診断
秋田大学大学院医学系研究科整形外科学准教授 宮腰尚久
3 腰部脊柱管狭窄症に対する保存療法
関東労災病院整形外科脊椎外科 唐司寿一
東京大学医学部附属病院22世紀医療センター 運動器疼痛メディカルリサーチ&マネジメント講座特任教授 松平 浩
亀田総合病院リハビリテーション室 吉本隆彦
東京大学医学部附属病院22世紀医療センター 運動器疼痛メディカルリサーチ&マネジメント講座特任准教授 岡 敬之