株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

骨転移診療の課題と今後めざしていくべき方向性について

No.5210 (2024年03月02日発行) P.46

篠田裕介 (埼玉医科大学医学部リハビリテーション科教授)

森岡秀夫 (国立病院機構東京医療センター整形外科科長)

登録日: 2024-02-28

最終更新日: 2024-02-27

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 日本整形外科学会は,2018年に“がんロコモ”という概念を発表し,がん患者の運動器管理の重要性について啓発活動を行っています。発表から5年経過しましたが,がん患者,特に骨転移患者への整形外科医の関わり方の変化について,また,今後,整形外科医が骨転移診療へさらに積極的に関わるためにどのような取り組みが行われているかについて,ご教示下さい。
    東京医療センター・森岡秀夫先生にご解説をお願いします。

    【質問者】篠田裕介 埼玉医科大学医学部リハビリテーション科教授


    【回答】

    【骨転移診療を普及するため,医療政策,ガイドライン,onco-orthopaedicsなどの取り組みが行われている】

    国民の2人に1人が生涯でがんに罹患する時代に入り,2018年にがん患者の運動器疾患に関して日本整形外科学会ががんロコモの概念を提唱しました。この概念が確立したことで,がんに関する運動器の諸問題で苦しむ患者の社会生活維持とQOL改善に対する取り組みの機運が高まり,方略も明らかになりました。その定義は,「がん自体あるいはがんの治療によって骨・関節・筋肉・神経などの運動器の障害が起き,移動機能が低下した状態」であり,原因から3つに分類されます。今まで,個別に対応してきたかもしれないがん患者の運動器疾患が系統的にまとめられたことにより,がんロコモに関する臨床や研究に取り組みやすくなりました。一方で,がんロコモの概念が提唱され5年が経過しましたが,運動器の専門家である整形外科医に広く浸透したとは言えません。

    近年,このような状況を改善するため,いくつかの取り組みが行われました。1つ目としては,がんロコモの多くを占める骨転移に関する医療政策として,2022年8月に施行されたがん診療連携拠点病院の新しい整備指針に,骨転移についてのカンファレンスの開催が要件として盛り込まれたことがあります。骨転移は多様な側面を持っているため,多診療科・多職種で取り組む診療領域です。したがって,このために開催されるカンファレンスであり,骨転移診療に整形外科医が参加する機会になりました。

    残り568文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    公立小浜温泉病院

    勤務形態: 常勤
    募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・整形外科 各1名
    勤務地: 長崎県雲仙市

    公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
    現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
    2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
    6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

    当病院は島原半島の二次救急医療体制の救急告示病院として救急患者を受け入れています。
    又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。

    ●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
    今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問診療、訪問看護、訪問介護体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top