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腰椎形成不全性すべり症[私の治療]

No.5186 (2023年09月16日発行) P.47

渡辺航太 (慶應義塾大学医学部整形外科学教室准教授)

登録日: 2023-09-14

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  • 腰椎形成不全性すべり症は腰仙移行部の形成不全により,主に第5腰椎が仙椎より前方または前側方に転位し,それに伴い腰痛や絞扼性の神経根症状や馬尾症状を呈する。脊柱側弯症を呈する場合もある。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    主に小児期に発症する。本症の臨床症状は体動時の腰痛が一般的であるが,無症状で偶発的にみつかる場合もある。第5腰椎の関節突起間部に分離がないelongationタイプでは,すべりの進行により神経組織が絞扼され,下肢痛,緊張性ハムストリングス,間欠跛行,膀胱直腸障害,神経障害に起因する凹足などの足部変形などが生じる。一方,分離を伴うlysisタイプでは神経症状を呈する例は稀なため,重度のすべりに進行してから受診する例が多い。本症の自然経過は十分には解明されていないが,基本的に不良と考えられている1)

    【検査所見】

    X線写真で診断する。腰椎側面像で第5腰椎が仙椎よりも前方に転位することで診断されるが,軽症例では腰椎分離症と鑑別がつかない場合もある。重症例では腰仙部の局所後弯,L5椎体の矩形化,仙骨終板のドーム化,仙骨の垂直化と正面像におけるNapoleon hat signなどが特徴として挙げられる。CT画像では後方要素の低形成,関節突起間部の形状,二分脊椎の合併等が描出され,三次元CTは詳細な分類と手術計画に重要である。また,脊柱側弯症を合併する例もあるため,脊椎全長X線写真でその有無をスクリーニングする必要がある。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    X線写真上での椎体のすべりが軽度で,症状も軽度の腰痛だけであれば経過観察でよい。しかし神経症状の発症,画像上でのすべりの進行例では手術を積極的に検討すべきである。特に仙骨終板のドーム化の所見がある場合は,すべりの進行は必至と考えられているため,可及的早期の手術が望ましい。

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