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肉離れ[私の治療]

No.5163 (2023年04月08日発行) P.47

奥脇 透 (国立スポーツ科学センター)

登録日: 2023-04-10

最終更新日: 2023-04-05

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  • 肉離れは,自ら(拮抗筋)の筋力または介達外力によって,抵抗下に筋が過伸展(伸張性収縮)されて損傷し,発症するものである。好発部位はハムストリングスであり,典型例は腱膜部での損傷である。重症例では,格闘技などで膝関節伸展位で股関節の屈曲を強制され,坐骨結節付着部の損傷が生じる。

    ▶診断のポイント

    病歴の聴取,診察所見(圧痛とストレッチ痛)に加え,画像所見が重要である。病歴聴取では,発症時のエピソードや自覚症状,その後の経過などを聞く。診察所見では,圧痛の広がりやその最も強い部分をチェックし,痛みが筋の起始部や停止部付近にみられたら要注意である。

    腱膜損傷の程度を把握するには,ストレッチ痛の有無や程度(可動域)が参考となる。

    画像検査は確定診断に有用であり,ストレッチ痛が明らかな場合にはMRI検査を行う。MRIで損傷部位と損傷程度を把握することが治療方針の決め手となる。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    肉離れの重症度は,損傷部位によって大きく3つに分類できる。軽症型は筋線維部の,中等症型は腱膜部の,そして重症型は筋腱付着部の損傷が主体であり,それぞれの損傷部位における損傷度合で予後は変わってくる。

    軽症型では,可及的にリハビリテーションを進めていく。

    中等症型以上では,症状の消失と画像検査における損傷部の修復がスポーツ復帰への目安となる。

    重症型,特に付着部の完全断裂は手術適応となる場合があるので,専門医への相談が必要である。

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