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【文献 pick up】米国内科学会から骨粗鬆症薬剤治療の新ガイドライン―薬剤推奨順序を明記

宇津貴史 (医学レポーター)

登録日: 2023-01-10

最終更新日: 2023-01-10

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米国内科学会は13日、「原発性骨粗鬆症・低骨密度例の骨折予防薬剤治療ガイドライン」をアップデートし、Ann Intern Med誌上で公開した。治療の有効性と安全性に関する最新のエビデンスに基づき、患者にとっての価値、患者の嗜好、負担コストも考慮の上、治療推奨を明記している。

推奨を要約すると、

1)閉経後女性および男性

骨折予防における第一選択薬はビスホスホネート [BP] 製剤:アレンドロネート、またはリセドロネート、ゾレドロン酸

=女性に対しては「推奨」、男性に対しては「提唱」レベル(「推奨」よりも弱い)

2)閉経後女性および男性で、BP製剤禁忌または不忍容の場合

デノスマブ

=男女とも「提唱」レベル 

3)骨折リスクがきわめて高い女性

BP製剤後にロモソズマブ、あるいはテリパラチド

=「提唱」レベル 

465歳以上の「骨減少」女性に対するBP製剤開始の要否

個別に判断

=「提唱」レベル

とされた。ガイドラインの解説をかいつまむと、

1’)BP製剤が第一選択とされた理由は、有効性・安全性、患者の価値と嗜好、患者負担コストの間のバランスが最良のため。

2’)第二選択薬とされたデノスマブは、ネットワークメタ解析において、BP製剤を36カ月以上使用した場合と有意差のない骨折抑制作用と有害事象リスクが認められた唯一の薬剤だった。

3’)テリパラチドについては長期使用後にBP製剤へ切り替えた場合の有効性・安全性には十分なエビデンスがない旨が記された。

またロモソズマブでは、BP製剤に比べた心血管系イベントハザード比(HR)が1.995%信頼区間[CI]:1.13.1)である点も明記されている。

本ガイドラインの興味深い点は、各薬剤による骨折リスク「絶対減少数」を示している点である。すなわち、閉経後女性を対象に以下の成績が示された。

136カ月以上使用した場合

「大腿骨近位部骨折」減少数(vs. プラセボ)は
BP製剤                    6/1000
デノスマブ               4/1000

「臨床的椎体骨折」減少数(vs. プラセボ)は
BP製剤                  18/1000
デノスマブ             16/1000

21236カ月使用した場合

「臨床的椎体骨折」減少数(vs. プラセボ)は
BP製剤                  21/1000
ロモソズマブ            4/1000
テリパラチド          45/1000
(大腿骨近位部骨折の有意減少は認めず)

これらの数字は、本ガイドライン作成のために同学会が行なったネットワークメタ解析から導かれている。

本ガイドラインネットワークメタ解析ともAnn Intern Med誌ウェブサイトにて無料でPDFが公開されている。

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