肺高血圧症(pulmonary hypertension:PH)は死に至る難病である。これは今でも変わらないが,この20年で生命予後は劇的に改善している。治療選択肢が増え,診断をすれば治療ができる時代になり,PH患者が元気に生きられる期間を延長させることができる。さらなる改善のために,いかに早期に疑い,専門施設(肺高血圧症センター)に集約化するかが重要であり,現在の課題でもある。
本稿では,現在のPHの診断と治療について解説し,疑うポイントを明確にするとともに,特に目覚ましく発展している肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension:PAH)と,慢性血栓塞栓性肺高血圧症(chronic thromboembolic pulmonary hypertension:CTEPH)の最新の治療について述べる。