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ガングリオン[私の治療]

No.5049 (2021年01月30日発行) P.36

稲垣克記 (昭和大学病院附属東病院整形外科主任教授)

登録日: 2021-01-30

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  • 主として,関節近くにある膜や粘液嚢胞にゼリー状の液体がたまる弾力性の腫瘤で,超音波エコー上は低エコーの病変である。発症要因は不明である。手に出現する軟部腫瘤性病変の半数近くはガングリオンとされる。好発部位は手関節背側が最も多く(約2/3の頻度),ついで橈側手根屈筋腱周辺,屈筋腱A1 pulley部,伸筋腱第1区画部などである。発症は20~50歳に多く,女性が男性の3倍程度である。小児にも生じる。病態は,関節・腱鞘内の滑液が内圧上昇に伴い袋をつくり,無色透明のゼリー状液を有する腫瘤となる。これらを含め,線維性組織のムチン変性によるとする説が支持されている。

    臨床症状は弾性・軟の腫瘤として触れる。手関節背側例は,関節包や舟状月状骨靱帯より発生したものが多く,手掌をつく際に疼痛を生じる。深部発生のため視診・触診では腫瘤が確認されず,MRIや超音波エコーで診断される場合もある(occult ganglion)。肩周辺では肩甲上神経麻痺,肘周辺では肘部管症候群や後骨間神経麻痺,足部では足根管症候群の原因として発見される場合が多い。

    ▶診断のポイント

    問診で聞くべきこと:経時的変化について聞く。短期間に増大するものもあれば縮小することもある。

    診断のポイント:触診と超音波エコー,MRIで診断可能である。好発部位を知っておくと診断に役立つ。

    必要な検査とその所見:穿刺により,独特のゼリー様内容物を認めればガングリオンと考えてよい。超音波では低エコーを示し,MRIはT2強調像で高信号を示す。

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