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肉離れ[私の治療]

No.5034 (2020年10月17日発行) P.46

奥脇 透 (国立スポーツ科学センター副センター長)

登録日: 2020-10-16

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  • 肉離れは,自ら(拮抗筋)の筋力または介達外力によって,抵抗下に筋が過伸展(伸張性収縮)されて損傷するものである。肉離れの多くは,筋腱移行部(特に腱膜)の損傷であり,好発部位はハムストリングスである。稀に瞬時の強い外力で過伸展されて筋腱付着部が損傷する場合がある。これも肉離れのひとつであり,格闘技などでは,転倒した際に,膝伸展位で股関節の屈曲を強制され,ハムストリングス付着部の損傷が起こる。このように肉離れは筋腱複合体の損傷であり,軽度のものから重度のものまで含めた概念である。

    ▶診断のポイント

    まずは病歴,次に診察所見(圧痛とストレッチ痛),それに画像所見である。病歴では,発症時のエピソード,自覚症状とその後の経過などがポイントとなる。診察所見では,圧痛部位の広がりや最も強い部位を調べる。筋の起始や停止部付近は要注意である。また,腱膜損傷の程度を把握するには,ストレッチ痛の有無や程度(関節角度)が重要である。ただし,これらは経過とともに軽減してくるので,急性期ほど有用となる。画像検査は超音波検査やMRIが有用であり,ストレッチ痛が明らかな場合にはMRI検査を勧める。MRIで損傷型(部位)と程度を把握することが治療方針を決めることになる。

    ▶私の治療方針

    肉離れの重症度は,損傷部位によって大きく3つに分類できる。軽症型は筋線維部,典型的な中等症型は腱膜部,そして重症型は筋腱付着部の損傷が主体となっている。それぞれの損傷部位においても損傷度で予後は変わってくるので,再診で経過を追っていく必要がある。軽症型では,症状(特にストレッチ痛)を悪化させないことを前提に,可及的にリハビリテーションを進めていく。中等症以上では,ストレッチ痛の改善をみながら荷重動作や抵抗運動に移る。伸張性収縮力の回復と画像検査における損傷部の修復が復帰への目安となる。重症型では,特に付着部の完全断裂は手術適応となる場合があるので,専門医への相談が必要となる。

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