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特発性大腿骨頭壊死症[私の治療]

No.5017 (2020年06月20日発行) P.45

山本卓明 (福岡大学医学部整形外科学教室教授)

登録日: 2020-06-22

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  • 骨・骨髄組織が虚血により壊死に陥った状態で,骨梗塞と同義である。本症は,あくまで細菌感染を伴わない,非感染性,無腐性(aseptic)の骨壊死で,脳梗塞,心筋梗塞と同様の病態である。一方,ビスホスホネート製剤により発生するとされている顎骨壊死は,細菌感染に起因する腐骨形成を伴った骨壊死であり,本症とはまったく基本的病態が異なっている。ステロイド投与,アルコール多飲が発生関連因子として提唱されている。年間患者発生数は2000~3000人と推定され,人口10万人当たりの発生率は年間2.51人である。ステロイド投与対象疾患が若年に好発するため,ステロイド関連では20~30歳代,一方,それ以外では40歳代に発生のピークがある。性別でみると,ステロイド関連では男女比1:1と同率であるが,狭義の特発性では5.6:1と男性に多く発生する傾向にある。両側発生率は,ステロイド関連で約65%,それ以外では約45%である。ステロイド関連の中でSLEに限ってみると,88%が両側罹患である。また,片側が発症して対側が発症するまでの期間は,同時または6カ月以内が最多で,2年を超えるものはきわめて稀である。

    ▶診断のポイント

    【症状】
    〈発生と発症の違いに注意する〉

    骨壊死が発生した時点では無症状で,壊死巣が圧潰をきたして初めて症状が発現(発症)する。発生と発症との間に時間的差異があることが特徴であり,これは心筋梗塞や脳梗塞などと大きく異なる。

    発症した場合は,急性な股関節痛で始まることが多いが,中には坐骨神経痛様疼痛や,大腿より膝にかけての痛みなどがある。

    【検査所見】

    単純X線での,骨頭圧潰(crescent sign),帯状硬化像が特徴的で,特に発症早期ではわずかな圧潰所見を見逃さないことが重要である。診断に困ったとき,あるいは早期の骨壊死の同定にはMRIが有用で,骨頭内帯状低信号が特徴的である。その他,骨シンチグラフィでのcold in hotも診断に有用である。

    【診断基準】

    ①単純X線での骨頭圧潰,②単純X線での骨頭内の帯状硬化像,③骨シンチグラフィでのcold in hot,④MRIのT1での骨頭内帯状低信号,⑤骨生検標本での骨壊死像,の5項目のうち2つ以上満たすと確定診断できる。ただし,腫瘍および腫瘍類縁疾患,骨端異形成症,大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折は除外する必要がある。

    【検査所見とその読み方】

    単純X線における帯状硬化像,MRIにおける低信号バンド像が壊死巣と健常部との境界に相当する。その所見に基づいて,以下の病期,病型を確定させる。

    〈病期(Stage)〉

    Stage 1:X線では特異的所見はないが,MRI,骨シンチグラフィ,病理組織像で異常所見を認める。

    Stage 2:X線で帯状硬化像などが出現するが,骨頭圧潰を認めない時期。

    Stage 3:骨頭圧潰を認めるが,関節裂隙は保たれている時期で,圧潰が3mm未満は3A,3mm以上は3B。

    Stage 4:関節症変化の出現する時期。

    〈病型(Type)〉

    Type A:壊死域が臼蓋荷重面の内側1/3未満のもの,または壊死域が非荷重部にのみ存在するもの。

    Type B:壊死域が臼蓋荷重面の内側1/3以上2/3未満のもの。

    Type C:壊死域が臼蓋荷重面の内側2/3以上に及ぶもので,壊死域の外側端が臼蓋縁内にあるものはC1,臼蓋縁を越えるものはC2。

    〈病型に基づいた圧潰率〉

    Typeによる圧潰率は,Type A:0~20%程度,Type B:10~50%程度,Type C1:70%程度,Type C2:70%以上,との報告がある。

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