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ペルテス(Perthes)病[私の治療]

No.5002 (2020年03月07日発行) P.42

大谷卓也 (東京慈恵会医科大学附属第三病院整形外科教授)

登録日: 2020-03-08

最終更新日: 2020-03-04

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  • 骨成長終了前の大腿骨近位骨端部に生じる阻血性の骨壊死であり,骨端症のひとつに分類される。骨端線の存在する2~13歳に発症するが,好発年齢は6~8歳である。男児に多く(男女比4~6:1),多くは片側性で左右差はみられないが,10~20%に両側発生(通常数カ月~1年以上の間隔で発症)もみられる。病因は明らかでなく,外傷,炎症,凝固異常,静脈還流異常などが関与するという様々な説がある。一般的に,活発で多動の小柄な小児に多いとされる。

    ▶診断のポイント

    臨床症状は主として疼痛,跛行であるが,疼痛は訴えず跛行のみを主訴とする症例も少なくない。また,疼痛を訴える場合も,股関節部ではなく大腿部痛や膝周囲痛であることも多く,しばしば膝周囲のみが検査されて診断が遅れるので,注意が必要である。理学的所見としては股関節可動域制限(特に屈曲,外転,内旋が制限される),殿筋~大腿筋の筋萎縮などに注意する。一般的な血液・生化学検査所見に異常は認めない。

    【画像診断と分類】

    画像診断の基本は単純X線正面,側面の2方向画像を左右比較することである。病初期には側面像で骨端前方にわずかな扁平化,前上部の細い線状陰影(軟骨下骨折線)などを認める。その後,病期の進行とともに3~4年の期間をかけて,骨端部にはまず圧潰,骨吸収,骨硬化,分節化といった変化が観察され,その後に骨新生,再石灰化,リモデリングと進んで,新たな頚部~骨頭形態が完成する。一般的なX線学的重症度の判定としては,壊死期~分節期の正面像と側面像から壊死領域の広がりを評価するCatterall分類や,分節期の正面像でlateral pillar(外側支持部)の圧潰程度を評価するHerring分類1)が使用される。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    本症の治療は,無治療での経過観察から保存的治療,観血的治療まで施設ごとに様々な考え方で行われており,国内外において明確な治療ガイドラインは確立されていない。骨頭血流を早期に回復させたり,骨修復を促進させたりする根本的治療は確立されていないため,生体の治癒過程においていかに圧潰と変形を防止し,球形の骨頭に修復させるかが治療の主眼となる。今日において,そのために認められている方法は,再生しようとする骨頭を球形の寛骨臼内に包み込むという“containment”の考え方であり,その手法としては保存的治療と観血的治療の両方がある。保存的治療としては両股関節外転免荷治療(施設入所しての長期治療となるが良好な成績が報告されている),両股関節外転荷重治療,片側外転免荷治療などを目的として様々な装具療法が行われる。観血的治療としては大腿骨骨切り術,骨盤骨切り術,あるいは両者の併用により骨頭のcontainment獲得をめざす。

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