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【書評】『レジデントのための循環器教室 症例で学ぶ循環器診療のリアル』本当に読み終えてから書いた推薦文

No.4996 (2020年01月25日発行) P.64

村川裕二 (帝京大学溝口病院第四内科教授)

登録日: 2020-01-22

最終更新日: 2020-01-21

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医学論文の多くは、時が経てば朽ちていく。あるいは、「事実ではない」と覆される。いまこのときの「エビデンス」などかげろうのようなものだ。真実であるものは「思考の洗練」しかない。

患者をみる。心電図を読む。心エコーやCAGをみる。トライアルで織りなされた歴史の本筋を知り、「枯れた、筋のよい理屈」を理解する。

たくさんの情報があっても、「思考の洗練」がないと、どこにもたどり着かない。

病態、薬理、侵襲的治療の極意などは他の本にも書かれている。もっとシンプルなテキストも、もっと詳細なテキストもある。

循環器診療を扱っているようにみせて……、本書は知識の断片には、こだわっていない。

「犯人を追う歩き方」「職人の考え方」「大人としての発想」などフィロソフィーを語っている。

その意図があればこそ、論文の読み込み方、直感の活かし方、冠動脈を見る視点、薬理学の深み、意表を突く症例など「渋いところ」に話が向かうのだ。

18編の短編小説になっている。

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