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足底腱膜炎(足底筋膜炎)の病因と診断・治療の現況は?

No.4939 (2018年12月22日発行) P.62

根井 雅 (帝京大学スポーツ医科学センター)

笹原 潤 (帝京大学スポーツ医科学センター講師)

登録日: 2018-12-19

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足底筋膜炎の病態,成因,診断,治療,予後について文献とともに,また,糖尿病との関連についてわかっていることがあればご教示下さい。

(青森県 W)


【回答】

【診断,治療(超音波ガイド下の注射療法)ともに超音波の有用性が報告されている】

(1)疾患名

「足底筋膜炎」「足底腱膜炎」ともに目にする言葉ですが,正しくはどちらを使うべきなのでしょうか。厚生労働省保険局のホームページを確認すると保険病名として「足底筋膜炎」を採用していることがわかります。その一方で,「整形外科学用語集(第8版)」,「足の外科学用語集(第2版)」のいずれにおいても「足底腱膜炎」と記載されており,「足底筋膜炎」という表記はありません。plantar fasciaの和訳も「足底腱膜」となっており,学術的には「足底腱膜炎」が正式な用語です。したがって,本稿では「足底腱膜炎」と表記して回答します。

(2)病態・成因と診断

足底腱膜は,踵骨隆起の内側結節から始まり,第1~5趾基節骨底面に停止する頑丈な腱組織で,足の縦アーチを支えています。足底腱膜炎は,歩行やランニングなどにより足底腱膜への微小外傷が繰り返されて同部位が変性し踵部に痛みをもたらす疾患で,ランナーに好発することが知られています1)。リスクファクターとして,ランニングのほかに糖尿病,踵骨棘,肥満指数(body mass index:BMI)高値などがあります2)

足底腱膜炎は,一般的に症状(歩行開始時の疼痛)と身体所見(足底腱膜踵骨付着部の圧痛)により診断され,その画像診断が必要となることはほとんどありませんでした。最近では補助的な画像診断として,超音波検査の有用性が報告されています。健常例の足底腱膜の踵骨付着部は,2~4mm前後の厚みであるのに対して,足底腱膜炎の患者では5~7mmと肥厚していることが確認できます(図1)。

超音波検査の普及に伴い,足底腱膜炎と診断された症例の中には,病変部位が足底腱膜付着部ではなく,実質部にある症例が約30%程度存在することが報告されています3)

(3)治療・予後

足底腱膜炎に対する治療の第一選択は保存治療です。一般的なNSAIDsのほかに,インソールの処方やストレッチの指導を行います。ストレッチは,足底腱膜だけでなく,アキレス腱のエキセントリックストレッチも効果的です。より積極的な保存治療として,局所麻酔薬を添加したステロイド注射があります。近年では,注射の精度を高めるために,超音波がガイドとして用いられるようになってきています。ヒアルロン酸や多血小板血漿(platelet rich plasma:PRP)などの注射治療の有用性も報告されていますが,わが国では保険適用外診療となります。さらにPRPは,「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」の規制対象であるため,しかるべき手続き・認可を得た上でなければ行うことができません。

予後は比較的良好であり,これらの保存治療を行うことで約90%の症例は症状が改善することが知られています4)。症状が3~6カ月以上持続する場合は,難治性足底腱膜炎と判断し,体外衝撃波治療や手術治療を検討します5)。難治性足底腱膜炎に対する体外衝撃波治療は,わが国で保険適用となっています。手術治療では鏡視下や超音波ガイド下での腱膜部分切離術を検討します6)

【文献】

1) Buchbinder R:N Engl J Med. 2004;350(21): 2159-66.

2) Ursini F, et al:PLoS One. 2017;12(3):e0174529.

3) 平田淳作, 他:関東整災外会誌. 2016;47(3):173-5.

4) Lareau CR, et al:J Am Acad Orthop Surg. 2014; 22(6):372-80.

5) Speed C:Br J Sports Med. 2014;48(21):1538-42.

6) Miyamoto W, et al:Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2018;26(10):3124-8.

【回答者】

根井 雅 帝京大学スポーツ医科学センター

笹原 潤 帝京大学スポーツ医科学センター講師

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