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靴でなる疾患、靴で治る疾患 切らずに治す足の外科【電子版付】

半世紀以上にわたり「人と靴」を診てきた筆者による“靴医学”のエッセンス

定価:5,280円
(本体4,800円+税)

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著: 井口 傑
判型: A5判
頁数: 252頁
装丁: 2色刷
発行日: 2020年09月14日
ISBN: 978-4-7849-4920-5
版数: 第1
付録: 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます)

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ファッション性と機能の板挟みとなった現代の「靴と足」。
半世紀以上にわたり靴と足を診てきた筆者が、「直立二足歩行」や「靴と足にかかる力」をふまえて、
・足の診察のコツ
・「切らずに治す」靴からのアプローチ
を伝授します。

1章:足と靴
2章:靴と足を診る
3章:靴でなる疾患,靴で治る疾患とは?
4章:様々な「靴でなる疾患,治る疾患」
5章:エッセイ‐人間は考える足である

診療科: 整形外科

目次

1章:足と靴
 1. なぜ,人間は靴を履くのか?
 2. 靴の構造
 3. 足の構造と解剖
 4. 足にかかる力,靴にかかる力
 5. 歩く/走る
 6. 靴で病気になる?
2章:靴と足を診る
 1. 診察の前に
 2. 足と靴の診察
 3. 保険で診る
 4. 足底板,インソール,中敷き
3章:靴でなる疾患,靴で治る疾患とは?
4章:様々な「靴でなる疾患,治る疾患」
 1. 足の疾患
 ①外反母趾/②槌趾/③内反小趾/④爪下血腫(黒爪)/⑤母趾種子骨障害/⑥陥入爪/⑦強直母趾/⑧モートン病/⑨有痛性外脛骨/⑩前足根管症候群/⑪マーチ(行軍)骨折/⑫中足骨疲労骨折/⑬ジョーンズ骨折/⑭リスフラン靱帯損傷/⑮足根骨変形性関節症/⑯足根隆起/⑰内側足底神経エントラップメント(ジョガーの足)/⑱足関節外側靱帯損傷/⑲腓骨筋腱鞘炎/腓骨神経エントラップメント/⑳アキレス腱周囲炎(付着部炎)/㉑ハーグランド変形/バンプ・パンプ/㉒靴擦れ/㉓踵部脂肪褥炎
 2. 靴でなる運動器の疾患(足以外)    
 ①シン・スプリント/②変形性膝関節症/③O脚(内反膝),X脚(外反膝)/④鵞足炎/⑤膝靱帯損傷/⑥オスグッド・シュラッター氏病/⑦股関節痛/⑧変形性脊椎症/⑨転倒,骨折
 3. 靴でなる体と心の疾患    
 ①ロコモティブ・シンドローム/②サルコペニア/③フレイル/④骨粗鬆症/⑤メタボリッ・クシンドローム(糖尿病,脂質異常症,高血圧,動脈硬化)/⑥引きこもり,うつ状態,認知症/⑦糖尿病足
5章:エッセイ    
 1.人間とは    
 2.靴でなる病気の筆頭―外反母趾    
コラム
 1.下腿三頭筋は一関節筋か二関節筋か    
 2.アキレス腱のもう1つの働き    
 3.腓骨筋腱と外反母趾    
 4.趾屈筋も足関節を屈曲する    
 5.意外に効率の良い二足歩行    
 6.足底圧計    
 7.刺激の変化    
 8.最高の足底圧計    
 9.ロッカー・ボトム    
 10.転ぶハイヒール    
 11.種子骨とトンネル    
 12.クッション性底衝き    
 13.重い靴,軽い靴    
 14.浮き趾   

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序文

私が医者になって半世紀が経った。初めて医者として働いたのは,戦後の雰囲気を色濃く残した,東京の下町の病院だった。近くには,まだ臭いの漂う隅田川が流れ,川沿いには日本製靴(現リーガル)やハルタ製靴の製靴工場があり,土手の周辺には多くの靴職人が住み,働いていた。そんな中での医者の仕事は,朝から晩まで傷の縫合で,革漉すき職人がお得意様だった。まだよき時代で,若造の医者にも,靴工場の労災担当から,盆暮れにはお礼の靴が届いたし,靴職人の爺さんには,手を縫ってもらったお礼にと注文で靴を縫ってもらった。
そんな医者が,いつの間にか大学に戻り,足を専門に選んで,定年を迎えた。長年持ったメスを傍らに置いたとき,気になったのは靴のことである。「足に合った靴を履きなさい」とは, 患者に言い続けてきた言葉だが,「どこに行って買うのですか?」の質問の答に窮したこともしばしばだった。最も困ったのは,長年連れ添った女房に「足の医者なら, 痛くない靴の1つも見つけられないの!」と詰問されたことである。
中学時代の友人に誘われたのをよいことに,大学を退職したのをきっかけにして,靴メーカーの顧問に潜り込んだ。それから10年近く,「足に合う靴, 足の痛くならない靴」を目指して試行錯誤を続け,外反母趾の患者が痛くなく履ける靴から,冠婚葬祭に履いて行ける痛くないパンプスまで,売れもしない靴を試作してきた。その一方で,すでに亡くなられた長崎大学の鈴木良平教授や,城南病院の石塚忠雄院長の薫陶を受けて,日本靴医学会の理事長まで務めさせていただいた。いつかは,患者に「足が痛いなら,この靴を履きなさい」と言える靴を開発して,先達の恩に報いたいと思っているが,その前に靴と命がすり切れそうである。
そうこうしている間に,昔の同級生から,「糖尿病の患者によい靴はないか?」,「骨粗鬆症には踵の硬い靴がよいって本当か?」などと, 靴に関する質問をよく受けるようになった。“靴医学”と称して活動してきた身としては, 単に足と靴の関係だけでなく, 数百万年かけて人類が初めて成し遂げた“常時直立二足歩行”という偉業と,この数千年間に急速に普及した靴という2つの観点から,現代社会における靴と疾患の関係を『靴でかかる疾患,靴で治る疾患』と題して考えてみたい。

2020年8月
井口 傑

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正誤情報

下記の箇所に誤りがございました。謹んでお詫びし訂正いたします。

・ 22ページ 「2. 中足骨」本文7行目〜

〈誤〉「この第1~第5足根中足関節は,18世紀のフランスの外科医ショパールの名をとって,ショパール関節(Chopart joint)と呼ばれる。」→〈正〉「この第1~第5足根中足関節は,18世紀のフランスの外科医リスフランの名をとって,リスフラン関節(Lisfranc joint)と呼ばれる。」


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