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変形性膝関節症患者のHbA1cとADL困難度との関連性 [学術論文]

No.4704 (2014年06月21日発行) P.42

戸田佳孝 (戸田整形外科リウマチ科クリニック院長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-29

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  • 変形性膝関節症(膝OA)74例のヘモグロビンA1c(HbA1c)を検査した。HbA1c(NGSP)5.6%以上を糖尿病の疑いを否定できない試験群(37例),5.6%未満を非糖尿病の対照群(37例)に分類した。臨床評価項目はBMI(body mass index)と膝OAのADLに関するLequesne重症度指数とした。その結果,BMIは両群間で有意差はなかったものの(P=0.16),Lequesne重症度指数は試験群が対照群に比べて有意に高かった(P<0.0001)。以上の結果から,HbA1cの高値は肥満度とは独立した膝OAの臨床的重症度の増悪因子であると結論した。

    1. 糖尿病と変形性膝関節症

    2007年に厚生労働省が発表した調査結果では,わが国の糖尿病患者とその予備軍は2210万人であった1)。この数字から日本人の6人に1人が糖尿病もしくはその予備軍という計算になる。
    糖尿病の特徴は合併症が起こって初めて医療機関を受診する者が多い点である。糖尿病の三大合併症(網膜症,腎症,神経障害)の中でも神経障害は最も高率かつ早期に発症する2)。糖尿病性神経障害は,体内で蛋白質と糖が加熱されて生成された物質である終末糖化産物(advanced glycation endproduct:AGE)が末梢の血管を障害し,その血管が栄養を送っている末梢神経が障害され,痛みを感じるようになる3)。糖尿病のため下肢の末梢神経が障害された場合,多くの患者は「脚が痛むのだから」という理由で整形外科を受診する。
    変形性膝関節症(knee osteoarthritis:膝OA)の罹患人口は推定3080万人との報告があり4),この数字からは日本人の4人に1人が膝OAという計算になる。このため,糖尿病による下肢神経障害を合併した膝OA患者は多いと予測する。
    また,Rasheedら5)は,OAの軟骨細胞におけるAGEはマイトジェン活性化蛋白質キナーゼおよび核因子κBの活性化に対する受容体によってインターロイキン6およびインターロイキン8の発現を誘発すると報告した。
    膝OAに対する日常診療では,画像診断などの他覚所見は軽症であるにもかかわらず,日常生活動作(activities of daily living:ADL)困難度が高い症例に遭遇することが多い。これらの症例には自覚症状のない糖尿病性神経障害やAGEによる軟骨でのインターロイキンの発現が関与している可能性がある。
    今回の研究では,膝OA患者の蛋白質であるヘモグロビンと糖が結びついたAGEの一種であるヘモグロビンA1c(HbA1c)の値とLequesne重症度指数6)との関連性を探った。

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